プレイ、推理遊戯

「プレイ、推理遊戯」(ミステリー傑作選)
1、 バラの色(今野敏
刑事が、バーに置いてあるバラの色をめぐって、推理を繰り広げる。そのバーでは、バラだけが飾り。たまーに赤いのが黄色いのになっている。なぜか?
最初の推理。店主が、恋人にOKの合図を知らせる。→これは、外に向けないとだめ。×
次。麻薬か何かの取引。→。これも、そんなことができそうな店主ではないのでX。
で、最後。店の常連さんにし変わらないサイ。→つまり、珍しいウイスキーが入ったとの印。

2、 退出ゲーム(初野晴
若過ぎて、分からない。

3、 人事マン。(沢井凛)
ある会社で、殺人事件がおこる。Aが殺された。主人公は、BがAに恨みを持っていたと聞きこむ。Aは退職後、仕事につくことができた。Bはできなかった。これは、Bが、昔、叱責をうけたからだ。でも、Bは常々、「Aのせいだ」と言っていた。それで、昔の事件を調べる。すると、Bは私用で遠距離電話をかけすぎて、叱責を受けた。でも、同僚の話では、Aがその当時よく遠距離電話をかけていたとのこと。でも、Bは責任感が強かったので、自分の部署のAが結婚のことで揉めたのを知っていたので、身代りに名乗り出て、叱責を受けた。
で、Bが犯人だと断定。Bに話しを聞く。すると、自分の妻が身体不自由で、退職後の年金受け取りまでの収入がないので、半分Aに出してもらおうと談判したことを話す。退職後の仕事をうけるべきは身代りにでた、Bだったのだから。でも、Aは剣もほろろに断ったので殺した。

4、 初ガツオ(柴田哲孝
大嫌い。糞つまらない。大体、浮気をすすめる夫がいるはずがない。多分、男性向け、それも、相当なじじいに向けて人気がある人なんだろうが。二度と読む気がしない。

5、 ねずみと探偵―あぽやん(新野剛志)
超うまい。舌を巻くうまさ。それに、自分の前にいた旅行業界を題材にしているので、安心して書いているって感じ。国民全部が自分探し病、とか、皮肉も利いている。
筋。リストラ候補を探さなければならない立場の主人公。でも、それぞれに一長一短があって、決まらない。そんな時、誰かが勝手にお客の予約をキャンセルした。それも、普通はしない、端末支社のコンピューターからなされている。
キャンセルがなされたのは、朝の8時。その頃、支社にいたのは、森野。彼女は操作ができる。それで、彼女に糺すと、曖昧な答え。その後、添乗員の須永が来る。彼は、超いい加減な性格。人前ではいい顔をするが、影ではとんでもない悪さをする。それを知っている、主人公は、須永がやったのではと問いただす。つまり、須永が、添乗する旅行の、自分の分の予約をいれるのを忘れていた。それで、別のお客の予約をキャンセルして、自分が入れた。現に、キャンセル客の開いた分は、須永で埋まっていた。
でも、そこで二人で言いあいをしていると、須永の愛人(それも大勢の中の一人)の馬場が、自分がやったと言いだす。しかし、彼女は、操作方法を知らない。
それで、また揉めていると、上司が、ねずみか霊がやったんだと言いだす。これは、ぎすぎすした状況の時は、犯人探しは止めろという意味。ほうっておけば、自然に解決すると。
で、結果から言うと、やったのは須永。でも、それを庇った森野と馬場は辞職することになる。
感想。人間の心理、会社の軋轢、などが手に取るように細かく書かれていて、傑作。

6、 裸足の親父(黒田研二)と、ギリシャ羊の秘密(法月倫太郎)
前に紹介したので、カット。

今週面白かったのは、「駅弁デカ」
財務調査官なんて小難しいのは、見る気にならないけど、駅弁はいいわ。肩の力が抜けて、興味をそそるわ。
筋。中目黒署のデカの主人公とルポライターが仙台、東照宮で駅弁を食べていると、近くで転落死がある。被害者はルポライターのA。しかし、主人公は、ルポライターが首にカメラをかけていないことに不審を抱く。
近くに、元警官のBがお土産物屋をやっていて、捜査状況を知らせてくれると約束。
ところで、東京では、議員の妻のC子が、500万の寄付を10年も、ある施設にしていることがマスコミにバレ、問題となっている。
そして、中目黒署管内で、ルポライターのDが後ろから刺されて殺される。ルポライター二人の契約していた出版社へいくと、二人は、最近、つるんで、寄付疑惑のあったC子につきまとっていたと証言。
さて、Cこの夫の秘書のE男が、主人公の上司を呼んで、C子は、昔不良で、薬の売人の子供を産んで、C子の寄付をしている施設に預けていると教えてくれる。主人公と上司は、その施設にいく。すると、しつこいルポライターの二人がある少年の写真を撮っていたと証言。しかし、その時、地元警察が来て、妨害。
主人公は、B(土産物屋のおやじ)が外で見ていたことを思い出し、彼が、何か知っていて、通報をしたと推理。さて、そのBに話を聞くと、案の定、その息子は、C子の息子で、C子は、昔、売人の妻だった。しかし、足抜けをする覚悟で、Bに情報を流してくれて、売人を逮捕することができた。
さて、わざわざ隠し子の情報をくれたE男に不審感をもった主人公は、秘書のE男を調べる。すると、彼は不正をしていて、それをルポライターにかぎつけられて、強請られ、殺した、と判明。しかし、C子が強請られて殺したと思わせるために、例の情報をリークした。
ところで、土産物屋の親父Bも、C子が脅迫され殺したと思ったので、彼女の身代りになろうとして、偽装工作をして、出頭した。で、E男が自殺にみせかけて殺すためにC子を拉致。それを主人公が助ける。
駅弁が沢山でてくるところが、面白かったわ。

もうひとつ面白かったのは、「偽証法廷」
法廷物ってつまらないから、あまり期待していなかったんだけど、面白かったわね。証言がくるくるかわって、それも、真実を知らない人には納得できるような内容で。小杉健二。あなどれないわね。
筋。東京で、三軒の殺人があるの。いずれも、コードで首をしめられて、おなかの上に手が重ねられているの。三人とも髪が肩くらい。
三番目の事件で、主人公は、一番に臨場したの。すると、親友で、幼友達だった男のネックレスが落ちていたので、思わずポケットにいれてしまうの。
で、自分は、その男〈徳ちゃん〉に自首をさせようと思って、住んでいた所(葉書があった)、やふるさとを訪ねるの。すると、敏明という息子がいて、二人は一緒に山奥に入ったきり、息子しか戻らなかったという証言が得られるの。タクシーの運転手から。それで、息子が父を殺したと推理。動機は、二番目の殺人のあった後なので、父は、子が犯人だと断定し、息子を更生するために殴った。しかし、逆に息子に殺された、と推理。
ところで、一人の女性から、ストーカー届がでていたことから、息子の敏明が浮上。彼が住所を移した先で事件が起きている。
で、主人公は、敏明を喫茶店に呼び出すの(電話番号は、捜査記録から知ったのね)。で、喫茶店で、父のネックレスに触らせて、自首を勧めるの。でも、敏明はふてぶてしく、こんな物は証拠にならないと突っぱねるの。そこで、主人公は、敏明の吸ったタバコを持って帰るの。
で、次の事件が起こるの。でも、今度は、バーに勤める女性で、ママとマネージャーと三角関係で揉めていた事実が判明。この現場に、主人公は、敏明きのネックレスとタバコを置くの。警察は敏明の犯行とみて、彼を逮捕。でも、敏明きは、この事件だけは、自分ではないと主張。
そして、喫茶店で、ネックレスを、主人公に触らせられ、タバコも主人公が持って帰ったのを見たと弁護士に話すの。弁護士は、この事実を警察に話し、法廷でも言うの。
でも、警察は、この時、二人はあったことはあったが、証拠品は持って帰っていない。あくまでも、敏明の遺留品だと、主張する方針を取るの。
で、裁判で、喫茶店の店主も、二人はあったが、主人公はタバコを持って帰っていないと主張(金が動いたのね)。
一方、4番目の事件。ママが犯行を自白。まねたと言うの(捜査途中でも、情報公開をしていたのね)。
そしたら、敏明は、前の事件もやってないと主張。父のネックレスだし、父に会って、タバコを渡した、父の犯行だと主張。それで、無罪になるの。その後、弁護士の妻に会うと言って、実は、主人公の妻を誘拐。でも、殺さないの。最後は甘いわね。でも、面白かったわ。