三階に止まる

「三階に止まる」(石持浅海
「NOVA5」の中の短編。
これは面白かったわね。推理でもあるし、SFでもあるし。でも、他が、SFでつまらないので、あまり売れないかも。惜しいわね。
筋。3階に止まるエレベーターがあるの。誰も押さないのに、止まるの。でも、この階以上に住む人以外は、おかしいことに気がつかないの。でも、このマンションは、まだ新しくて、住民どおしの仲はいいし、それ以外の不満はないの。
で、主人公(このマンションの住民)の友達に来てもらって、調べるの。すると、三階が接触不良、ということはないの。それから、誰かが乗っていないときは、止まらないの。で、推理するの。人間以外のものが三階で降りるんではないかって。
つまり、霊みたいなものよ。で、その霊は、人間に取り付いて移動するので、人間が乗らないときは、止まらないの。
で、その霊たちは、どこへゆくのか、と探ってみると、ある部屋がずっと、新聞がたまっているの。つまり、その住民は死んでまもないってこと。で、その部屋に違いない、と推理するの。それで、管理人に開けてもらうと、男が死んでいるの。その部屋には、近くで、連続殺人があって、殺された子供たちの写真が沢山かざってあるの。つまり、その男が、犯人で、ストーカーをしていたってこと。で、霊が、復讐をしたって訳。面白かったわ。
人間に憑いてしか移動できないもの。→霊。と推理するところが新鮮だったわ。

今週面白かったのは、「奥さまはネットワーカ」
小西は毎日パソコンで日記を書いている。『洋介さんは、今日も帰りが遅い』
ナルミが工学部の研究棟で襲われる。重症だけど死なない。第一発見者は小西。この日、この棟にいたもの。A教授。B助教授。C助手(サーバーの管理者)。Cは小西の日記を覗いている。A教授はD子と不倫している。単位を迫られている。三枝洋介もいる。三枝は、工学部に妻がいることを隠して、D子と不倫。この日はD子とあっていたので、アリバイの証明はできない。
さて、C助手が殺される。ナルミのパソコンにすぐに会いたいとのメールが入る。ナルミがいくと、犯人に襲われる。しばらくして、D子が、研究棟の裏で殴られて、殺される。
ナルミはまたしても死なない。発見したのはB助教授。この時点、ナルミの狂言かとも思われる。だが、D子の手には、A教授の服の繊維がついている。A教授が疑われる。不倫の噂を小西が流す。
その後、三枝洋介につきまとっていたA教授の妻も殺される。
さて、C助手が小西の日記を盗みみていたのを聞いた刑事は、それを読む。あたかも洋介の妻のよう。しかし、三枝洋介にみせると、思い当たる節がないという。そして、自分の妻はナルミだという。
つまり、小西は洋介のストーカー。妻のナルミが憎くて殴った。しかし、親友なので躊躇。二度目はC助手を殺して、それを利用してナルミを呼びだして殴った。またしても躊躇。
三人目のD子は、血まみれの姿を見られたので殺した。四人目の妻は、三枝に付きまとっていたので殺した。やっぱり、アクロイドは驚く。
その後のQEDはちょっとね。
電気を暗くしておいて、発見後、浅沼が刺したというもの。一回は、この手を使いたいんだよね。でも、発見時、発見者がもっと近づく可能性もある。そうしたら計画はパー。それに、秘書が戒名を知っていたから、犯人ではないというは、間違い。
辞世の句に戒名を書かせたら、殺されると思われるに決まっている。よって、普通の名を書かせるのが普通。なら、秘書も犯人の可能性あり。この場合、やはり秘書が犯人とするのが妥当。動機はいくらでも考えられる。秘書は、社長の愛人で、離婚して結婚してくれると言っていたのに、別れようと言われたとか。浅沼には二股をかけていて、嘘を言わせたとか。
それに、ダイイング・メッセージ睡眠薬を飲んで、ヘロヘロのはずの社長が、ダイヤのクイーンを掴めるはずがない。犯人が、副社長か、その下の人をミスディレさせるために握らせたとするのが妥当。