ナミヤ雑貨店の奇跡

「ナミヤ雑貨店の奇跡」(東野圭吾
面白かったわね。タイム・トラベル物なの。従来のタイム・トラベル物と言えば、時間の裂け目を通って、急に首が現れるとか、時間の裂け目を通って犯人が逃げるとか、つまらないものだけだったけど、これは一味違うわね。
ナミヤ雑貨店という古くて、辞めてしまった雑貨店があるんだけど、そこの郵便受けに悩み相談の手紙を入れると、30年後の現代に届いて、そこにいたチンピラの三人が答えを書くの。それを牛乳箱に入れると、30年前の時代に届くの。チンピラは適当なことを書くんだけど、相談者は、それで、一生懸命考えるの。あんまり、参考になっていないような感じだけど、それでも、自分で答えをだすの。中には、皮肉に、死んでしまって、その死んだ人の助けた少女が夢をかなえるなんて、のもあって、面白かったわ。ミステリーに新風を吹き込んだ感じよね。是非読んでほしいわ。
あと、短編集だから、手紙を入れて、そこから、時間の経過を書いて、飽きたころに返事が届く、なんて、のろい展開ではなくて、返事を入れると、すぐに手紙が届くの。昔の時代では半年くらい経っている設定だけど、現代では、数分なの。スピーディで面白かったわ。
印象に残ったのは、最初のモスクワ・オリンピック目指している少女の話し。こちら側の人間が、あれはボイコットされちゃったんだから、と悩む所と、最後のビートルズの解散前の話し。蘊蓄とはこういう風に入れるのね、というお手本だったわ。

今週、密室もので面白かったのは、「山村美紗
和室。ふすまの密室。真中からかける鍵。脇の二つは差し込む鍵。片方を半分の長さにする。鍵は途中まで。向こうとこちらにずらす。人が通れる隙間。出て戻す。発見した後、長い鍵にすり替える。簡単だけど、面白かったわ。