鬼流殺生祭

「鬼流殺生祭」(貫井徳郎
明治初期の話。よって、岡っぴきは警視庁になっている。検死の医者も出てくるけど、死亡推定時刻までは出せない。殺人事件が起こる前に、昔ながらの葬式だの、武士の家の格式だのがどっさり出て来て、少々退屈だったわ。
さて、主人公は、霧生の家に正純という友達(フランスの陸軍で勉強してきた)がいる。でも、本家筋ではないので、霧生の家の端の部屋に宿泊している。彼には、従妹のお蝶といういいなずけがいる。
さて、ある夜、正純が霧生の家の端の部屋で殺された。家族は、強盗の仕業だと決めつける(数百円ほどの掛け軸などが盗まれていた)。しかし、門の前には夜泣き蕎麦屋がいて、一晩中人の出入りはなかったと証言。さらに、庭に一面に霜柱が立っていたが、踏みつけられた足跡はなし。よって、内部の犯行と断定された。さて、霧生家は、東と西の棟があったが、途中の廊下に部屋があり、東の棟からは行ったものはいなかった。となると、西の棟に寝ていた数人に絞られる。だが、正純の部屋の前には建てつけの悪い戸があり、その心張棒がかかっていたと家族は証言する。だが、子供だけは、夜おしっこに行ったときに、かかっていなかったと証言。
さて、進展がないうちに、別人Aが親戚の暴れん坊の惟直に殺される。
そして、次は、お蝶の父に当たる、正種が殺される。この時、正種の部屋の廊下は油がこぼれて通れなかった。だが、賊が、門から入ったように足跡が、正種の部屋の前までついていて、さらに、正種の首が、切って、途中の木の傍に置いてあった。
さて、主人公は、周防という友達に相談する。周防は、過去を調べろという。
それで、主人公は、親戚の佐和という老女に話を聞く。すると、霧生の家は、隠れキリシタンであったと分かる。キリシタンは自殺を禁じている。さらに、正種はお吉という女性に手を出して、子供を産ませた。それが正純だ。吉はそれでショックを受けて自殺。
さて、正種の娘が、お蝶、吉の娘が正純、となると、二人は腹違いの兄弟ということになる。しかし、この二人の結婚を、強く押したのが、本家のババであった。だが、二人は、そんなことは知らなかった。
だが、本家のババが死ぬ前に、お蝶に、そのことを話したとしたら、どうであろうか? お蝶は、ショックで自殺するか、あるいは。
それで、周防が、皆を集めて、なぞ解きをする。
まず、霧生の家は、隠れキリシタンで、親族結婚がずっとなされてきた。よって、お蝶は普通の体ではないのではないか? するとお蝶は言う。私は半陰陽。つまり、男で女。
さらに、本家のおババが死ぬ前に、正純がお吉の息子だと言われた。よって、結婚はできない。しかし、結婚式は目の前。それで、相手を殺して自分も死のうとした。だが、できなかった。
そして、父の正種について。これは、自殺だと断定。なぜなら、誰も入れなかったのだから。だが、キリシタンでは自殺は禁じられているので、新太郎が、足跡をつけたり、首を切ったりした。
今一だったわね。

今週面白かったのは、山村美紗
推理作家A原作のドラマが撮影されている途中に、女優のBが青酸カリで殺されるの。で、彼女のケータイに暗号で、数字が記されているの。それは、133,200とか言う感じ。これを解読すると、イスズ200万円と解読される。つまり彼女は脅迫をしていて、いすず(監督がそうだった)に入金された日を記録していた。もう一つ、0000.200というのがある。これが誰かわからない。
さて、Bの付き人をやっていて、今度のドラマで役のついたCの夫(彫金師)が、すぐにかけつける。(これもとってつけたようなんだけど)。CはBに苛められていたとの情報があり、恨みがあるんじゃないかと推理。それから、夫の駆け付けるのが、あまりにも速かったので、近くまで来ていたんじゃないか、と推理。夫は、それを認めるが、他の工場にいたとのアリバイはあり。さらに、その夫は、Bに言いよられていた。
さて、0が4つは、玉よとも読める。玉よは推理作家Aの親友なので、Aは嫌な予感がする。でも、Bにどんな弱みを握られていたのかは不明。
さて、ある場面を書き直すことになって、Aは書き直す。その場面を読んで玉よが変な顔をする。で、その夜、Aの娘のケータイから夜の8時に山の頂上へくるようにメールがくる。いくと、玉よに襲われる。顔を隠しているが、一瞬ずれて見える。
で、玉よの部屋にいくと、刺されている。ケータイはある。玉よは病院に運び込まれるが、重症。
その時間、Aの娘は、Cの夫がホテルを出ていくのを見て、Cの夫が犯人ではないかと推理。さて、Aは玉よが書き直した場面を見て、変な顔をしたのから、そこを読みなおしてみる。すると、頭文字だけを並べると、「たまよの子はまい」となる。それで、C(まい)が小さい頃いたという乳児院にいく。すると、石をもたされて捨てられていたと聞く。それは、玉よがこっそりと教えてくれた過去と合致する。つまり、玉よはそのことで脅迫されていて、Bを殺したのだ。
さて、Cにそのことを話すと、Cはどこかへ身を隠す。Cの夫に話を聞くと、ある崖の上に行ったに違いないという。行くといる。そして言う。玉よが、自分に、役を降りろと言った。さらに、夫の店をデパートに出すのを阻止すると言った。それは、脅迫されて困って言ったのだが、そんなことは知らないので、撤回してもらおうとナイフを出し、争っていると、刺してしまった。それを夫に話して、指紋を拭いてもらった。
で、最後、玉よは、Cが自分の娘であることを認める。
まあ、よくある隠れた親子物だったけど、面白かったわ。