法月倫太郎の冒険

「法月倫太郎の冒険」(法月倫太郎)
1. 死刑囚パズル
ある死刑囚の死刑執行の日。死刑直前に死刑囚がお茶に入ったニコチンで殺される。それは、死刑囚が甘党だったために、所長が、まんじゅうを取り寄せ、それと同時に仏間にはこびこんだお茶(ポット入り)に入っていた。
所長が、いつもはタバコを差し入れるのだが、今日はタバコはダメだと気がついて、まんじゅうの発注をしたのが10時。南事務官がお茶を仏間に運んだのは11時30分。その後、仏間に出入りしてニコチンのアンプルからニコチンをポットに入れる可能性のあったのは、18人。
あ、ニコチンのアンプルは、注射器とともに、焼却炉に捨ててあった。指紋はなし。手袋をしていた可能性大。
しかし、焼却炉は、故障していて使えなかった。おまけに、アンプルには、ロットナンバーがついていて、販売ルートを特定しやすい。それなのに、そのまま捨ててあった。一階にはシュレッダーがあって、粉々に粉砕できるのに、使ってない。以上のことから、犯人は、外部の人間と考えられる。
容疑者となりうる人は18人。この中で、内部事情に詳しいのは、掃除のバーさんの高橋さんはじめ16人。彼らは、焼却炉が使えないことは知っていた。
その中で、外部の人は、二人。本庁から派遣されていた。
しかし、この二人は、11時半行こう、部屋を出ていない。おっと、その一人は一回出たが、所長と一緒であり、焼却炉には近づいていない。
これで18人全員がダメ。残るは死刑囚一人。しかし、これも死んでしまって、焼却炉に近づけない。なのでダメ。
では、誰か、外部の者が、この18人の誰かとすり替わったのではないか。
その人は、手袋、顔を隠しているので、すり替わりは分からない。
となると、掃除のおばさんしかない。犯人は彼女。
で、動機は。十数年前に、死刑囚に襲われて、子供ができた。それが息子で死刑執行官の中里。子供がボタンを押したら、父親殺しの罪になってしまう。それでやった。
でもさあ、中里の押したボタンが死刑を実行したのかは分からないし、黙っていても、全然問題はないと思うけど。

2. 黒衣の家。
息子(A)からすれば、祖父が死んだ。親戚の美人の子が来た。
数日後、祖母が農薬で毒殺された。味噌汁に農薬が入っていた。祖母の茶碗だけ。二階で、祖母と祖母の妹(外部に嫁いだ)が食事をする。息子Aが運んだ。
味噌汁を作ったのは、母(B).でも、よそったのは、母の妹(C)。見ている前でよそった。その後、祖母の茶碗に毒が入った。父と母の妹の夫も隣の部屋にいた。
母の妹と夫は、この土地をマンションに建て替えたくて、頻繁に音連れていた。しかし、祖母は強硬に反対していた。
息子は階段を上る途中にお盆を廊下に置いて、トイレに入った。その時に毒が混入されたか? でも、一階の人間は、その部屋から出ていない。
祖母の妹は、心臓発作で死。しかし、この妹には保険もかかっていないし、死んでも、遺族には何の得もない。
どう考えても、息子(A)がやったとしか思えない。トイレに毒入り瓶が隠してあって、入れた後洗えば、証拠は残らない。でも、動機がない。
さて、祖母の葬式の日、美人の娘(D)は息子Aから手紙をもらう。それを法月が見る。こう書いてあった。「前の葬式の日、君に一目ぼれした。もう一度葬式があれば、また会えると思って、、、」
面白かったわ。

3. カンニバリズム論
つまらないので、略。

4. 切り裂き魔
ミステリーの最初の2ページくらいを切り裂く人がいる。本文の前。実はそこに人物の紹介がでていて、「犯人はこいつ」と赤で書きこむ人間がいる。それが許せなくて、切り裂く。それだけ。

5. 緑の扉は危険。
本を8千冊も蔵書している人がいる。父が大金持ち。図書室の下の自分の部屋で首吊り自殺。
入口の扉は、内側からかんぬきがかかっている。向かいの緑の扉。鍵はかかっていないが、刑事5人で押しても引いても開かない。びくともしない。それで自殺と断定。
しかし、法月が調べてみると、妻には愛人がいた。おまけに、夫の父の遺産は500億。夫が先に死なないと、自分のその何分の一かは入ってこない。それから、妻は家の改築を計画している。法月は他殺と推理。
ある日、二階の本を、図書館の人員を借りて、半分以上運び出す。すると、あら、不思議。例の緑の扉がするすると開いたのだ。そう。二階の本の重みで、開かなかったのだ。つまり、妻は、愛人と結託して、二階の本の半分を降ろして、下の夫の部屋で夫を首吊りにみせかけて他殺。一方のドアにはかんぬき。自分たちは開くドアから出て、また二階の本を戻したのだ。

6. 土曜日の本
法月は、「50円玉20枚の謎」という原稿を依頼されて、悩んでいた。その頃、知り合いの書店に、50円玉20枚を両替してくれと言ってくる男がいるという話を聞きこんで、尾行する。すると、途中のトイレで、サングラスを取って、鬘もとって、変装をといている。さらに、尾行すると、書店の店員と同じ家に入っていく。つまり、書店の店員の父だった。ところで、依頼された原稿は6人の短編集で、自分を覗いて4人までが顔をだしている作家で、一人が覆面作家だった。それで、その覆面作家がやったのではないか、と推理する。それは当たっていた。彼も、原稿が書けなくて、困っていたのだ。

他にも驚きのトリックが。

今週おもしろかったのは、浅野ゆうこ主演の。
まず、東京のホテルで、会社社長のAが殺されるの。彼はハワイで結婚式をあげてきたばかり。アリバイのないのは、弟のB(のちに不倫相手の家にいたとわかりアリバイ成立)とAの妻。さて、Bの妻は、福岡にいてアリバイはあるが、元Aの秘書だった。それが強引に配置換えされて、Bと結婚した。どうやら、彼女はAの結婚届けを渡されたが、まだ出してないようす。さらに、同じホテルに、Aと昔付き合っていたCがいて、殺すちょっと前に、会っていた。彼女にもアリバイがない。
さて、Aの妻は玉の輿が目的で結婚して、ちょっと前まで福岡の旅行会社の社長dと同棲していた。そのdが、急に会社をたたんで、東京へでてきた。彼もアリバイはない。Dに強引に話を聞くと、彼は、Aの不倫の写真を撮ってあり、それをもとにゆすりにきていた。本当は、離婚させて、かなりのお金をもらう予定だった。
さて、そうこうしていると、Dが殺された。全員のアリバイと動機を調べる。
すると、むかしつきあっていたCに子供がいるが、これが、Aと顔が似ている。そこでDNA鑑定すると、Aの子供であることが判明。
それで、Dを殺したのはCではないかと推理。だがCにはアリバイはあった。
あ、そうそう。Dは飛行機の運航図を開いて、死んでいた。それがダイイングメッセージだと推理。
で、A殺しに戻って、A殺しの時にアリバイのあったBの妻に動機はないかと考える。彼女がもし、Aのストーカーだったとしたらどうか? あまりにもしつこいので、aは彼女を配置換えした。しかし、Aのそばにいたかった彼女は、Bと結婚した。
それで、結婚式の後、わかれてくれと頼んだ。だが、拒否されて殺した。それから、C殺しに関して。Cにそのことを嗅ぎつけられて脅迫されたので殺した。
さてアリバイだが。博多からインチョン経由で羽田にいく飛行機はある。それで行って、殺して、また飛行機で戻った。これなから可能。
感想。女のストーカーというのが面白かったわね。