10分間ミステリー,崩れる

「10分間ミステリー」
短編集。「このミステリーは凄い」大賞を取ったひとばかり。10枚なので、面白いものもあり、随筆みたいなのもあり、まあまあ。その中で印象に残ったもの。
1「防犯心理テスト」(上甲宣之)
消防署員だけを集めた心理テストを行う。そのほかに、角字のテストも出される。誰も読めない。だが、一人だけ玄だと読んだ少年がいた。
あ、その前に、連続殺傷事件がおきている。その中の一人が、この文字を見せられたと証言。犯人の顔は見ていない。
で、この文字は飾り文字になっていて、180度回転して出題された。だが、少年は読んだ。祖父の半纏にかかれていたと言ったが、審理官は、この少年が犯人だと断定。

2「7月7日に会いましょう」水田美意子
バーに一人のお客がくる。10年後の7月7日に例の場所で会いましょうと書いた紙を、卒業式の日に貰った。それで思い出の場所に行ったが、相手はこなかった。
思い出の場所とは、うどんやの前で、タヌキを保護した。それで彼女と交際した。で、うどん屋の前に行ったが、こなかった。暗号は、「タ」抜き、だと思って読んだが、意味不明。
その時、バーのマスターが言う。そのうどん屋讃岐うどんではなかったですか? それで、「サ」抜きで読んだら、小学校だった。
たった10枚だけど、面白かったわ。

「崩れる」(貫井徳郎
短編集。とくにミステリーに限った訳ではない。面白いのとそうでないのが、混じっている。
1「崩れる」
夫が働かない。イラストレーターなんだけど、積極的に仕事をもらわないので、家でぶらぶらしているばかり。妻が、遅くまでバイトに出ている。残業だと、夕食が遅いと文句を言う。息子は、大学を出たけど、銀行を二カ月で辞めて、アニメーターになりたいから、そっちの学校に行きたいと言う。ついに切れた妻は、夫と息子を殺す。

2.「おびえる」
主人公の妻が妊娠した。元付き合っていた黒須サキから頻繁に電話がはいるようになった。それも、自分がいないときだけ。妻には、断れと言ったが、気の弱い妻はそうもいかないらしい。そうこうしていると、黒須サキから愚痴を書いた手紙が届いた。はっきり断ろうと、元のバイト先に電話したが、そこの事務員も、喧嘩して別れたから知らないと言う。困っていると、ふと、妻のパソコンが付けっぱなしになっていた。何気なく覗くと、先日の黒須サキの手紙の元文が乗っていた。妻が妊娠ノイローゼになって、自分を愛しているか確かめたくて、やったらしかった。しばらくすると、黒須サキが、結婚相手の子供を産むと電話してきた。

3.憑かれる。
主人公は翻訳家。その自分の担当者が結婚で会社を辞めるらしい。主人公は結婚にはあまり夢を持っていない。そんな時、高校時代の同級生から電話がかかってきた。彼女は、あこがれの君との連絡を頼まれたが、私が意地悪をして、二人の仲を裂いた過去がある。
だが、その彼と再会して、めでたく結婚にこぎつけたというのだ。あるホテルの一部屋に招かれる。いくと、変な話を聞かされる。彼女は、自分が不幸の女だというのだ。昔、弟を道のこちら側から招いたら、交通事故で死んだ。その後は、父も同じようなことになった。だから、今回の相手も、同じようになるに違いない。そして、私が笑い飛ばすと、実は、私たちは死んでいるのと言って、手を握る。死人のように冷たい。で、その後、嘘、嘘と言って笑い飛ばす。だが、家に帰ってテレビを見ると、二人の乗った飛行機が墜落して、死んだことが報じられていた。

4.追われる。
主人公は、結婚相談所の所員。お見合いの訓練をしている。相手は女に免疫がないせいか、ちょっと優しくすると、すぐ、好きなのだと勘違いして、結婚を迫ってくる。今回も同じ。高価なプレゼントを用意してきた。だが、つっ返す。ある日、同僚が、家の近くで、痴漢にあった話をしてくる。二人は一緒のアパート。それからしばらくして、家の近くまで、先日の男が追ってきて、プレゼントを押し付けてきた。その時、同僚がいて、痴漢、と騒いで、彼を警察へ突き出してくれた。だが、その後しばらくして、主人公は、家の近くで、知らない男に追いかけられる。どうやら、本当の痴漢らしい。だが、警察は痴漢は逮捕したとして警戒を解いていた。さあ、どうする。

5.壊れる。
主人公の妻が交通事故を起こした。相手は上司の叔父だった。うちの息子は、鞭うちになったらしく、頭が痛いと言っている。だが上司はケチで、15万でケリをつけようとした。
ところで、私は、会社に浮気相手がいる。その彼女が言うには、上司も浮気をしているらしい。なので、その写真を撮って、人事部に送りつけた。上司は辺鄙なところに飛ばされた。私はたった15万でケリを付けようとした上司に復讐した気になった。ところが、私の浮気現場も盗撮された。私も復讐されたのだ。上司が浮気現場の写真を妻に送りつけてきて、妻は実家に帰ってしまった。

1. 誘われる。
主人公の京子は、マンションを借りた。隣に団地があるが、そこの主婦たちとは話が合わない。ある日、新聞に広告を出したら、返事を返してくれる人がいて、友達になった。ところが、段々相手はズーズーしくなって、家に遊びに来るたびに、お金がなくなるような気がする。そして、ある日、子供が痣ができていた。とうとう切れて、彼女を怒鳴りつける。そして、後日、京子の夫から彼女に手紙がいく。京子はちょっと病気。いつもぶつぶつ独り言を言っているので、友達ができない。それに、金を使ってもすぐ忘れるので、君のせいにした。それから、子供にDVをしても忘れた。そして君のせいにした。済まない。

2. 腐れる。
主人公の家の隣のベランダが臭い。ゴミを決まった日に出していないらしい。それから、酷く子供を怒鳴りつける。さらに数日後、子供の声が聞こえなくなる。私は、子供を殺してベランダのゴミ袋の入れているのではと疑う。だが、ある日、夫が、子供と会う。どうやら実家に帰っていたらしい。だが、夫が言う。お隣の旦那、最近見ないなあ。

3. みられる
主人公は、留守番電話が嫌いで、ケータイにした。だが、番号を知らないはずのどこかの男から、ケータイに電話がかかってくる。今日、生理だろうとか、今日、何を買っただろうとか、色々。さらに、結婚するだろうとか。で、気がついた。相手はゴミの袋をあさっているのだろうと。それなら、生理用品の残骸とかあるし。で、ゴミ捨て場を変えた。すると、かかってこなくなった。だが、ふと、結婚するとは、どうして知っていたんだろうと、考えた。それはゴミでは判断できない。結婚すると知っているのは、婚約者だけ。婚約者がそうでなければいいけど。