追憶のかけら

「追憶のかけら」(貫井徳郎
三分の二くらいまでは、旧かな遣いの、昔の小説が長々と登場してきて、かなり退屈。でも、最後は、ドンデン返しがいくつかあり、超面白い。
筋。私は、国文学の教授。妻が、喧嘩して実家に帰り、交通事故で死んだばかり。ある日、佐脇と小説家の手記を増谷という男が持ってくる。佐脇とは、青鞜にも小説が乗った、関係者にとっては知られた作家。
読むと、中に、フミという女性と交際していたことが書かれている。
これの真贋を確かめるために、中に登場してきた長谷川医師に会う。彼は、フミという女性のことは覚えていた。
さらに、中で、谷脇という男に暴行を加えられたと書いてあったので調べる。すると、谷脇ファニチャーの会長だとわかり、会いにいく。すると、広報の係が代わりに出てくる。それは、私が付き合う前、妻のサトコと付き合っていた男、志水だった。彼は、祖父の過去は知っていて、祖父に違いないという。
それで、間違いないだろうと踏んで、業界紙に発表する。反応は今一。だが、義父の麻生が原稿を見せてくれと言う。義父は妻サトコの父で、国文学の教授である。
で、見せると、紙が新しい、インクが新しい、それに、歌舞伎町という名前は昭和24年から使われ始めたのに、21年の小説なのに、歌舞伎町が使われている、以上のことから、これは贋作だという。増谷に電話してみると、偽の番号だった。
私はショックを受ける。それで、私を失脚させようとした人間は誰かを探り始める。
すると、岩淵(うろ覚え)という男から電話を受ける。私の論文に、自分の母が登場してきたので、原作を読ませてほしいと言う。読ませる。すると、母に違いないと言う。
このことと、長谷川の件、谷脇のことが本当であること、などから、佐脇の手記は実在していて、それを、わざと書き直して私を陥れた人間がいると、推理。
それで、岩淵に相談すると、フミの姓は麻生で、フミの名は、フミコであると教えてくれる。私は、義父の母の名が、麻生フミコであると思いだす。そして電話をかける。
すると、会ってくれると言う。そこで語られた真実は、サトコが死ぬ前から恨んでいた。それは、私が風俗に行ったから。それで、その遺志をついで復讐をしたと言うもの。
私は、そんなことで、復讐されたのに、さらにショックを受けるが、まあ、謎が解決したので、少しは納得する。
だが、その時、長谷川医師から電話がかかってきて、フミの名前は、フミヨであると思いだしたと告げられる。すると、あの岩淵も麻生フミコも嘘を言っていたことになる。
それでは、真犯人は誰か? と考えた時、サトコが振った男、志水ではないかと推理。だが、志水は、違うという。そして、谷脇(祖父)と会見したとき、その叔母が言ったある人ことから、彼女が犯人ではないかと言う。さて犯人は? 動機は?
面白かったわ。