空白の叫び、江戸前七つ星

「空白の叫び(上)」貫井徳郎
99%はつまらない。3人の中学生の日常を延々と描いているだけ。最後の最後になって、三人が殺人を起こす。そこからやっと、面白くなりそうな予感が。
筋。久藤は毎日がいらいら。新しいおんな教師が着任する。彼女は、苛めても苛めてもへこたれない。そこで、ずたずたにしてやろうと、彼女を犯す。そして写真をとる。それをネットにアップしようと思うが、その前に、彼女から呼び出しがあって、向こうから抱かれてくる。そして言う。「あなたは私が好きなのよね」と。我慢ができなくなって、久藤はその女教師の首を絞めて殺す。
葛城は、叔母と住んでいる。母が出ていってしまったから。祖母が死んで、その家が一億で売れる。母は財産分与を要求するが、遺言状で、叔母にいくことになっていたので、それは叶わなかった。叔母は家を売る。すると愛人ができる。そして、一千万くらいを貢いでいる。だが、その愛人のケータイ番号が、母のケータイにもあった。母が裏で、糸を引いているのだ。怒った葛城は、母のアパートに火をつける。
神原は金持ち。お手伝いの一家が同じ敷地に住んでいる。その一家の息子は、頭が足りない。ある日、その子が、苦労してつくったガンプラを壊す。怒った神原は、その子をゴルフのヘッドで殴り殺す。

(中)3人は少年院に入る。中の苛めが描かれる。後半、出てくる。一人は新聞配達をするが、抜き取られる。(犯人は分からない)。なので、辞める。

(下)葛城は叔母につめより、誰の子か聞く。住所をたどっていくと、神原の家にたどり着く。さらに叔母さんは、祖母の土地を売って得た一億を、全部、男に貢いでしまったと言う。そんな時、増田から銀行強盗の話を聞く。しかし、増田は加わらないというので、加わるように、車に傷をつける。
神原と九藤も仲間に入れる。小学校と鏡工場から硝酸銀を盗んで、硝酸アンモニウムを作って、それで爆弾を作る。それで、ある銀行の旗がや支店に仕掛ける。
一方、同じ銀行の近くの支店の支店長の不倫写真を撮って、送りつけて、命令を聞けと脅す。その命令とは、幡がや視店で、爆弾を爆発させて、警察をそっちにひきつけておく間に、その支店で、二億円を鞄に詰め込ませること。
この計画は成功。皆で金を分配する。
しかし、葛城のアパートに賊が入る。葛城は金も盗まれたのかと思って、家族の墓に行く。金はあった。だが、尾行されていて、車を傷つけられた復讐に、増田に、金を奪われる。

江戸前七つ星」(嵯峨野晶)
この人は、若桜木門下の人。私、占い師さんに、江戸物(それも推理と食べ物を入れたもの)をやればブレイクするといわれたので、真っ先に読んでみたの。
勉強になったわね。江戸時代の一膳飯屋の話なんだけど、今でも食べられているもの、その当時の物、そのころ食べられていなかったもの(マグロが食べられていなかったのは衝撃。あ、これは和田はつこで読んだのかな?)がたくさん出てきて、参考になったわ。
それから、難しい感じが少なくて、とても読みやすかったわ。男の作家だと、難しい漢字が多いじゃない。上田秀人とか佐伯康英とか。ああいうのは辟易だわね。難しい漢字や、四文字熟語を使えば偉いと思っている輩。つまんねーんじゃ、と言いたいわ。
さて、筋。文化9年、(1811)。11月4日。大地震がおこって、由比の夫が徳三郎を殺した罪で遠島になったの。
それから、由比は一人で、品川宿で一膳飯屋をやるの。娘がかどわかされたりで、全編、はらはら、どきどき。
それと、おいしそうなグルメを少し紹介するわ。
潮干狩りはあったのね。なので、アサリ汁は大量にあり。ハマグリ汁もね。
それと、よく食べられていたのが、イワシと鯵。鯵は冷汁にしても食べたようね。
8月のマイワシだけは、金太郎と呼ばれている。卵砂糖もふんだんにあったようね。イワシの梅煮はごちそうだったらしいわ。今でも、イワシの生姜煮は私も好きだけど。
それから、鮑も一膳飯屋でも出していたそうよ。大量にとれたのね。
あと、車エビやエビ真薯汁。
里芋の絹担ぎ、きぬさやと人参とこんにゃくの煮物。
枝豆と烏賊と白身魚のふわふわした揚げ物。(これは今でも紀伊国屋が売り出しているわね)
それから、剣菱はあったそうよ。
なすといんげんの味噌会え。鯛とアサリの煮つけ。カツオの臍(心臓)
それから、イワシとカワハギ(馬面)の刺身。これは海のそばだからできたのね。
なすとシラミ魚のはさみ揚げ。ホタテと貝柱の塩焼き。マンボウの食べたみたいね。
あと、和三盆の栗金つば。ああ、読んだだけで、よだれが出てきそうね。