トラップ ハウス、もののけ若様探索帖

「トラップ ハウス」(石持浅海
毎回思うんだけど、この人は天才。
帯から――狭苦しいトレーラー・ハウスの中に閉じ込められた卒業旅行の9人。ドアも窓も開けられない。混乱の中、一人が命を落とし、悪意に満ちたメッセージが見つかる。この卑劣な罠を用意したのは誰なのか? その目的は?――。
参加したのは次の人。元橋、広瀬、まなつ、古木(別行動)、優羽、歌織、芳か、関川、木戸、矢野。
トレーラー・ハウスの中、ケータイがつながらない。ガスも水道もダメ。入口も閉められ、レバーが切り取られていた。
目ざまし時計の下にメモ『一生、出られないよ』。木戸が死ぬ。背もたれに部分に針。それが延髄に刺さった。古木がこのいたずらを仕掛けたのか?
ソファーにはさらに2本の針が。『どうだ、痛かっただろう。もう逃げられないよ』のメモ。
さらに画鋲が張り付けられていた。窓の傍には2本の画鋲。
『窓から出ようと思ったって無駄だよ』のメモ。
火の手が上がった。毛布からだ。バスタブへ放り込む。『焼け死なずに済んだね。もっと、もっと苦労があるよ』のメモ。
矢野が切れてダッシュ。ベッドにぶつかって、痙攣。口に布を入れて静める。机の脚が一本、切られていた。『逃げようなんて、甘い』のメモ。
広瀬の推理。「さっきから、メモには『逃げ出せる』と書いてある。つまり、犯人は中にいる?」
木戸が死んだ時のメモ。『痛かっただろう』だ。これは前に用意していた。死ぬとは思わなかった。つまり殺す気はなかった。
「それから、『逃げ切れる』に関してなんだけど、俺たちの仲間には、逃げきれなかった奴がいる。仲井戸均だ。誰かに追われて、交通事故で死」。彼は新興宗教の合宿に誘われた。バイトだと言って。古木が言うには、中井戸はすでに信者になっていた。教団からすると、中井戸は合宿の前に死んだ。だから、逃げてない。教団が犯人?
ドリアンが振ってきた。『あんな宗教にいたと分かると、内定取り消しになるかも』のメモ。
犯人は、宗教のことも、内定の事も知っている奴。それから、事件の起きたあと、正確に情報を出している。前前から仕掛けておいたら、逆になることもある。以上のことから、犯人は、この中にいる。
冷蔵庫から、古木の死体が出てくる。犯人は前の日に来て、しかけた。つまり、車の運転のできる奴。
『犯人は誰かわかったかな? でも死者の呪いは解けないよ』のメモ。
関川が後頭部を強打した失神。残るは6人。元橋、広瀬(二人は大怪我をしている)。歌織、まなつ、芳か、優羽。
「中井戸の死に関係した奴がこの中にはいる」と犯人は思い、そいつを割り出すつもりなんだ。
中井戸が信者だと言ったのは古木だ。でもそれが嘘だったら?
古木は友達を宗教の合宿に誘おうとした。中井戸は反対した。それから、犯人は中井戸と深い仲。それで、今回、古木も殺した。
さて、古木と犯人は、前日にここに来た。そして、古木は殺された。古木を誘えるのは女。
さらに犯人は、帰りにレンタカーを運転して帰った。
歌織と芳かと優羽は免許がない。残るはXX。
XXは言う「そうよ。あの夜、中井戸は古木を説得に行った。しかし、足首を刺す直前にもう一人の仲間に邪魔された。そいつが押した。そして事故で死んだ」
そこで歌織が叫んだ。「違う。仲井戸君は、自分から飛び出して死んだ」
XXが言う。「そうか、あの夜のもう一人は歌織か」
犯人はXX.犯人は全員を車に閉じ込めて崖から落として殺そうとする。

もののけ若様探索帖」(伊多波碧)
この人も、若桜木一門の門下。漢字が少なくて、超読みやすかったわ。それに、ミステリーでもないから、頭使わないでいいし。
家臣はすべて妖怪なの。ふっきれているわね。アイデアの勝利よね。オサキ江戸へゆく(後で紹介するけど)と同じくらいに軽くて、面白かったわ。現代小説を読んでいるみたいね。
1・捨て猫
肥前平戸藩の若様。静山の若き日の思い出話。座敷わらしが一緒に住んでいるの。これが、目元涼しく、お人形みたいな美形。でも口は悪い。で、猫が迷い込んできたから飼うことにしたの。
奥女中は、ろくろっ首、のっぺらぼう、送り提灯、影女。などなど、でそれは賑やか。
静は旗本の三男坊にふんして、街中を歩く。浅草浅草寺の門前でだんごを食べている。そこで、迷い猫を団小屋の千佐子に預けた。すると、千佐子がかどわかされた。近くに歌舞伎三座がある。そこへ連れ込まれた。どうやら5代目市川団十郎のかわいがっていた猫が逃げ出したらしい。
でも、迷い猫はオス、団十郎のは雌。で、解放された千佐子が張り紙をした。宗吉が名乗りだした。彼にはおいてけぼりが憑いている。そのおいてけぼりに呼び寄せられて、猫が来た。で、捕まえて、二匹の猫は無事に飼い主に返した。

2・神隠し。
日本橋で最中を食べていると、信吾という男とまちがわれた。数か月前に神隠しにあったのだとか。武家の女房(千勢)は静を自分の息子、信吾だと言い張る。
静は逃げかえる。しかし、もののけ女中がいうことには、ありえない、若様と近づきになりたくて、嘘を言ったに違いない。
翌日、同じ場所で千勢と夫に会った。二人には松子という娘がいる。この娘がもののけに取りつかれている。が、両親にはわからない。
で、静の祖父の言。静の父親、政信の影武者だった男のいいなずけが千勢だった。
しかし、影武者が必要なくなったので、出奔させた。なので、千勢ともわかれなければならなかった。その後、お武家と結婚して信吾が生まれた。
信吾は、本当に神隠しに会ったのじゃ。天狗の仕業だ。

3・子思い
船越やの栗入り羊羹を食べていて、団十郎にあった。また猫がいなくなった。回向院裏の道。化け猫のミイが弥蔵に目を付けた。猫を拾って、隠しているといった。彼は猫の白玉を飼っている。彼の家に行った。二匹の猫が爪を立てた。この先は読んで。泣けるから。