クリムゾンの迷宮、オサキと江戸の歌姫

「クリムゾンの迷宮」(貴志祐介
この人は、「鍵のかかった部屋」で見てはいたけど、長編は初めて。バトルロワイヤルだったわね。面白かったわ。
藤木は砂漠のように、ひどく乾いた山脈のあるところで目が覚める。記憶のあるのは冬。バイトの面接を受けた。なのに今は暑い。南半球?
そばに水筒とブロックタイプの栄養食品の籠があった。食べた。ゲーム機があった。
「火星の迷宮へようこそ。プレイヤーはチェックポイントで進路に関する選択肢を与えられる」。「スタート地点でもある第一CPは北へ2500メートル、東北東へ1350メートル、東へ230メートル」
自分の歩幅を測って、歩くとする。方向は、南半球だから、時計を太陽に向けて。
女性がいた。藍と言った。片耳に補聴器。走ったせいで、彼女のゲーム機が壊れた。彼女はエロ漫画家。第一チェックポイントへいく。
野呂田、安部芙美子こがいる。「ゲームの電池は10時間。切れたら、新しい電池をアイテムとしてゲットすればOK」
「禁止事項。山に登る。複数の焚火。大きな図。大きな音。鏡の反射。いずれもSOSになる。第一CPで得られるアイテム。CPから南に35メートル、スピニフェックスの草の中」
妹背、楢本、鶴見、船岡が合流。「東西南北のどれかのルートを選べ。それぞれに各人のゲーム機に距離が出ている」
「サバイバルアイテムを求める者は東。護身アイテムは西。食料は南、情報は北へ進め」
藤木たちは北を選んだ。
北ルート第二CPへ到着。「オーストラリア、西オーストラリア州、キンバリー地区、バングル・バングル国立公園。70の大小渓谷あり。第二CPのアイテムは南へ40メートルの所」
「種子や木の実は猛毒。おすすめはバンクシアの花。ブラックボールの木の根。ブラッケン羊歯。大トカゲ、脂っこいので、グランドオーブンで火を通せ。虫ではウイチェッティ・グラブ。毛虫はダメ」
「サバイバルアイテムの重要度。コンドームは水をためられるので、AAA。ボーガンなど」
「食べ物では、砂糖はAAA。逆にFSビスケットと缶ビールは罠でダメ」
第二CPで得たものを持ち寄って見せあう。皆、過少申告。
それぞれを平等に分ける。
藤木たちは第三cPへ。スネア(罠の説明)
「ボウトラップ、どんな肉食獣だってイチコロ」。スネアに大型のとかげやゴアンナがかかっていた。焼いて食べる。藍が薬物中毒になって片耳を失ったと話す。
途中で、船岡、妹背と会う。白い泥を虫よけに塗っている。凶暴になっている。
食べ物をほしいと言われる。暴漢よけスプレーと交換。ワイルド・ピーチやワイルド・プラムもやる。特殊警棒を手に入れる。
第四CPの情報。「危険な虫はブッシュ・フライ。サンド・フライ。毒蛇の説明。カモノハシにも毒がある」
滝がある。滝壺で水浴。
蛇がカンガルーを呑み込んでいた。警棒で殺す。焼いて食べる。
セスナ機が飛んでいた。SOSを出すのはできなかった。
三日目。雨。ヒキガエルを食べた(生で)
三日間雨。「ゴールすればファーストクラスで日本へ。三つのゴールがある。ハッピー、バッド、ツルーエンド」
第五CPの近くのあり塚。アンテナみたいな物を発見。二本のアンテナ。受信用と送信用だろう。中継器もある。だとすると、どこかに隠しカメラがあって、二人を撮影しているのではないか? 山の上?
二人の男に会った。目が異様。楢本と鶴見か? すると阿部芙美子もいたはずだが、いない。ゲーム機の情報を思い出す。食料を取りに行ったものは凶。食料は罠。
麻薬が入っていたとすると、異常になる。食べ物が尽きると、同僚を殺す。食べる。二人が去った後、調べると、芙美子のバラバラ死体があった。やはり。
第六CP.「ゲーム機で20時間は遊べる」との情報。
以前、「10時間」と出ていたのを思い出す。電池の他の利用法は? 「受信機だ」。
藍の補聴器の電池を借りようとする。拒否される。それで、ゲーム機の電池を使う。
受信機をオンにする。「妹背を殺せば、残りは、藤木と藍だ、殺そうぜ」と楢本の声。
楢本は二人を追い始める。藤木は逃げ始める。
野呂田と会った。野呂田を連れて、渓谷の間の道を逃げる。血が点々とついた。楢本に追われる。野呂田のゲーム機を見た。スイッチを入れた。「パスワードを入れてください」の文字。
それを見て、藍が言った。「彼はゲームマスターなのよ。きっと主催者側の指示で動いているんだわ」野呂田は失神して何も言わない。
目を覚ました野呂田が言った。
「加藤は楢本に殺された。私は怪我をさせられて放置。一度に二人は食べられないから」
受信機から戦う音がした。楢本と鶴見の会話。「早く妹背を解体して食おうぜ」
翌日、目を覚ますと、野呂田が焚火でトカゲを焼いていた。慌てて消す。藍が言う。
「残りの二人に私たちの位置を知らせたのよ」。逃げる。
受信機に船岡たちの声が。近そうだ。
山に登ってみる。船岡たち3人が見えた。顔にニキビがびっしりと出ていた。異様。
楢本はアンテナに気がついた。ゲームの主催者のものだと言った。次に船岡を殺すらしい。
藍と野呂田がゲームマスターの件で喧嘩を始めた。その時、ボーガンが飛んできた。
野呂田は「仲間だ、殺すな」と叫び始めたが、3人は逃げた。後ろの方で声がする。逃げた先でボーガン。あの声は囮だったのだ。さらに南に逃げた。
翌日、クリムゾン・フィンチが警報を発した。鶴見だった。こっそり逃げた。藪に潜んだ。藍が叫んだ。「危ない、後ろ」。鶴見がそこにいた。スプレーをふりかけた。戦った。殴り殺されそうになった。その時、罠に手がかかった。引いた。鶴見が罠に射ぬかれた。
三人はゲームの領地から脱出しようとした。アボリジニに助けられた。しかし、山の上から銃激。逃げた。アボリジニは撃たれた。
受信機を入れた。発狂した楢本の声がした。V字谷を逃げた。藪の間に緑の目になった楢本が見えた。夜、楢本はたいまつで襲ってきた。
タイパンに見つかった。食べられる危険が。噛まれた。猛毒で意識が飛んだ。藍が血清で治療してくれるのを感じながら。
気が付いたら、日本。
藍がゲームマスターだったのではないか? 片方の目を失って、そこにXXX。補聴器はXX機。それでXXX・フィルムを撮影したのではないか?

「オサキと江戸の歌姫」(高橋由太)
漢字が超少なくて、現代小説の感覚で読める。軽い。超軽い。
筋。江戸時代。深川に「歌組」と称する娘たちがいた。その娘たちが歌詞どおりに次々に死んでいく。ええとですねえ、歌組のメンバーは8人。それで、「そして誰もいなくなった」とそっくりに、一人づつ死んでいくんです。軽いでしょ。例の真似ですねえ。でも、風刺がきいていて、歌組のメンバーの色の手拭いを売り出して、その売上げの多いほうから、センターを決めるの。そうです。AKB方式です。で、主人公、古道具屋の手代、周吉は、歌姫・お琴を守るべく奔走するのです。そんでもって、もののけのオサキ(尻尾の先が3つに分かれた妖怪キツネ)が毒舌で、超面白いのです。まあ、内容は薄いので、これくらいかな。