百物語、おん宿かわせみ

「百物語」(輪渡颯介
メフィスト賞を受賞したんだそうで。メフィスト賞も時代劇を出すようになったんですなあ。で、筋。浪人で剣の腕の立つ左門のところへ肝試しの話が舞い込んでくる。百物語と称して、一人づつ話をして、そのたびに、隣のくらい部屋で灯心を抜いて持ってくるという趣向。怖がりの甚十郎をやる。その時のはなしと、左門が顧問をしている剣の道場に現れたあやかしの話が交互に語られる。
で、あやかしの方を。ある日、道場の天井に、足跡がついている。ある人によると、夜、女が座っているとのこと。天井だから、ぶら下がる形になる。近くの寺の僧に拝んでもらうと、子供の足跡だが、もう出ないだろうという。結構な金額を取られる。だが、翌日、また増えている。そうこうしていると、虚無僧が外に来ていう。自分が拝んで退散させないと、女の足跡は外にでて、道場破りを呼び込むだろう、と。で、祈祷の紙を貼って拝んでもらう。だが、二三日、来る日が空いたら、本当に足跡は外にでてしまった。そして、道場破りがやってきた。この男にはどこかで会った記憶があった。だが、金をやって、帰ってもらう。で、調べると、その男は、あちこちで同じことをやって、金を稼いでいるようだった。左門は、捕まえて、仕返しをしようとするが。

「おん宿かわせみ」(平岩弓枝
1. 初春の客
神林東吾がるいの経営している宿「かわせみ」へいくと、夜遅くに女と背の高い、頭巾をかぶった男が止まっていた。南蛮語を話している。そして、夜中、男(黒人)が女を担いで逃げた。
翌日、奉行所にいくと、ある大店の女中が黒い犬をつれて逃げたが、朝には戻ったとのこと。その女はどうも、南蛮人との混血らしかった。
で、翌日、廻船問屋、苫屋五兵衛のところの寮で、与七が殺されていた。そこは、どうも、蔵前の札差にかしているらしい。近いうちに貨幣改鋳があるらしいので、袖の下を渡して接待しているようだ。
そうこうしていると、女がまたいなくなった。探すと、札差の別宅に隠してあるらしい。名前は千代菊という。黒人にそのことを話す。黒人は、長崎で下僕として使われていたが、逃げ出したらしい。そして、黒人は、女中を助けだして、二人は海の中へ。

2・花冷え。
るいが女の客を断っている。最初は一人で来るが、毎回違った男と一緒。つまり、売春なのだ。深川の水商売の女だろうと推理。その女の兄がやくざの定吉で、嫌がらせに来る。その後、女が水天宮で、腹帯を買うのをみる。で、ある日、女がどこかの男と舟遊びをしているのを見る。女は捨てないで、と言っている。男は、堅気の商売だから、分かれるという。赤子は、誰の子かわからなともいう。これは浅草の紙問屋・木島やの総領。ところで、女の名前は千代治。
そうこうしていると、定吉が殺される。下手人は総領ではない。彼にはずっと見張りがついていたから。
フグの毒にあたったらしい。千代治の母親のお勝も毒にあたって苦しがっていた。同心の推理。娘が男に捨てられて、身ごもって困っている。で、母親が、毒にあたれば赤子は流れると思って食べさせた。定吉は死んだ。母親も食べて、苦しがった。

3・卯の花匂う。
東吾は、狸穴で中のいい老夫婦をみた。筆を商っているとか。一方、かわせみには男女の泊り客があった。男は、毎日でかけていく。女は針仕事の口を探してほしいという。女がいうのは、男は親の仇討に来ていて、自分は女中だとか。7年前、荒井清七は、御所役人の進藤喜左衛門を討ち、妻を奪って出奔した。その仇討らしい。京都では、最近、御所役人と禁裏御用商人との不正がひどく、それもからんでいるらしい。女中のくみは、男を好きになってしまって、一緒になてくれと言っている。しかし、男は、母が健在だったら、母も殺し、自分も自害するつもりなので、それはできないという。
さて、狸穴の夫婦は、捨て子を拾って、育てている。しかし、ある日、喜一郎(男)が狸穴の夫婦をみつけて、母だと悟ってしまった。石段の下で、気が付いた夫婦が石段を転がり落ちた。そこにいた東吾が言った。「どうやら人違いらしいな」。喜一郎は剣を収めた。

4・秋の蛍。
強盗が続いていた。馬食町一丁目の旅籠、「ひさご屋」へ押し込みが。翌日、馬食町三丁目の旅籠「笹屋」、翌日本所の相生超の旅籠「菱屋」ついで、深川の「梅田や」、品川の「丁子屋」再び、馬食町二丁目の「藤谷」。
水鳥の第三の一味と手口が酷似している。最近仲間割れがあった。長七が娘を連れて一味を抜けた。
かわすみに老人と娘が止まっている。老人はけがをしていて、娘が血で汚れた手拭いを洗っている。老人が、娘の手を縛って、逃げた。娘がいうのには、「自分のために、仲間を殺しに行った」番頭の嘉介が尾行していった(かつて捕り方だった)。嘉介は、この男が長七であるのは知っていた。嘉介はお美代を背負っていた。法乗院へ行って、住職にお美代をあずけるつもりだった。
途中で、東吾以下の取り方が駆け付け、大捕り物になった。長七がかつての部下を切ったので、あらかた捕まった。嘉介はお美代を船の中に眠らせ、隠れてみていた。だが、川が増水して、船が流された。それを叫んで、畝源三郎(採り方)と長七が助けた。
長七は獄送りになった。だが、東吾の兄がいきな計らいをした。海賊の長七は死んだ。だが船頭の長七が嘉介の娘を助けたので、生きて獄から出てくる。

5・蔵の中
るいが老女の縊死未遂を助けた。老女は裕福な隠居で、死ぬ理由がない。目黒不動には、月一度きている。それは伊勢屋。嫁とうまくいかない。嫁が奉公人と逃げたので、離縁した。それを苦に縊死未遂をしたのではないか、と息子の話。
ところで、かわせみにとみという女が止まりにくる。とみがいう「伊勢屋に奉公していた喜三郎さんを探しに江戸へきた。彼は殺されたのじゃないか」嫁が逃げた奉公人というのが喜三郎である。さらにとみは言う。「喜三郎は母思いで、必ず月に一度は文がきた。駆け落ちしても、そこから文くらいは出せる。しかし、駆け落ちした日から、文がこない。もう一年になる。だから」駆け落ちしたのは、昨年の12月15日。嫁のお柳からは文がきた。駆け落ちしたということだけ。これは息子の半兵衛が持ってきた。怪しい。
使用人たちの証言。夜中、半兵衛が蔵の中に入っていった。
東吾の推理。嫁と姑のいさかいにこりごりした半兵衛が蔵の中で殺して埋めたのではないか。二人が駆け落ちしたということにして。
それで、蔵の中を徹底的に調べる。しかし何もない。その夜、蔵の裏の姑の離れから、半兵衛が骨になった死体を蔵に移し替えていた。それを見つけて、逮捕。

6・師走の客。
代々木野で、野点をしている美人に、けがをした足を手当てしてもらう。
ところで、長尾家に捨て子がある。長尾家のむすめの雪乃の子供らしい。雪乃は、内与力の一人息子を好きになってしまった。でも、自分も一人娘。それで駆け落ちした。そして、自分の実家に、自分の子供を捨てた。
さて、かわすみに若い娘が逗留している。夜中にねぼける。彼女がいうのには、小さいころに両親を亡くした。弟に財産をそのまま渡すように苦労した。弟に渡した。それでほっとした。源三郎が来て、いった。あの代々木野の美人ですよ。大きな庄屋の娘だった。
おすがという。浅草によく出るので尾行させてみると、働き口を探していた。そこで、長尾家に女中に出すことにした。すると、長尾がおすがをのち添えにすると言い出した。

7・江戸は雪。
かわせみで50両がなくなったと言い出した客がいた。旅籠はとり屋の老夫婦だといった。
今朝たった客は、二組だが、両方ともなじみで、今までもそんなことはなかったので、安全だと思う。となると、今いる客が怪しい。
で、はとり屋がなぜ50両ももっていたかというと、結納金を返すためである。娘が気に入られて、結納金をもらった。その後、その娘が実際に相手とあった。すると、女を奴隷にしか思わないような男だった。実際、結納金を返すと話した時も、5年間嫁として奉公させる、そのあと、返すというような男だった。
で、止まっている客全員を調べた。東吾たちが。すると、一人が持っていた。その男がいうのには、これは、昨晩、賭場で儲けたものだ。それで、もめた。
で、もめていると、はとり屋のご主人が、「実は」と言って謝ってでた。「実は、50両は、自分も賭場ですってしまった。まさか娘がいやだと言い出すとは思わなかったので。だから、最初からなかった」といった。
それで、丸く収まったようだったが、賭場で勝った男が言い出した。あの金はあぶく銭だ。あんなものをおふくろにあげても、汚い金だと思われるに違いない。ならば、そのかわいい娘のために使ってくれ。

他にも感動ものが一遍。

九州旅行に行ってきました。曇りの日が多くて、そんなに暑くもなく、キャンセルした人も多く、道はすいていて、快適でした。
一日目は、新幹線で博多へ。もう夕方だったので、じんの迅というところで飲んでおしまい。ここも最高においしかった。
二日目は阿蘇から湯布院へ。草千里が雄大で最高だった。宿は日の春旅館というところ。料理が最高だった。
三日目は天草へ。ここも宿がアレグリアというホテル。料理が最高だった。
四日目は、長崎へ。グラバー亭などを見て、一泊して、翌日は原爆記念館へ。なかなかだった。最後に稲佐山という展望台で長崎を一望。すごく良かった。