首、なみだ菖蒲

「首」(横溝正史
1・生ける死仮面
8・28日。彫刻家の小六が巡査に会う。リヤカーに少年を乗せていた。数日後。部屋の中をのぞいてみた巡査は、死後数日がたった死体をみつける。小六は、デスマスクを作っていた。小六の話「ヒロポン中毒。肺もやられて死亡」。デスマスクからモンタージュ写真を製作。両親が名乗り出る。三鷹の大地主の息子。緒方辰夫と判明。緒方夫妻の親戚には光子がいる。彼女は小六と別れた妻。
さて、金田一登場。本橋佳代子が、金田一のところへ駈け込んできた。緒方辰夫は自分の産んだ子。緒方家へやった。佳代子が言う。「あれは辰夫ではない。盲腸の手術後がある。」しかし、死体には手術後はなかった。
ここに遺言状がある。「緒方家の財産は、辰夫へ。彼が結婚するまでは両親が管理」。両親と小六のお芝居か?
そうこうしていると、玉川上水に男の首が現れる。死後3週間前後。8・13日くらい。ぼろ布にくるまれていた。緒方家で大量に買ったぼろ布と同じ。
緒方夫婦の証言。「辰夫から手紙がきた。女になったので、親戚に潜んでいる」
光子の証言。「嘘。小六はホモだから辰夫をかわいがった」
9・15日。小六のアトリエ。両手と両足が埋められていたのを発見。
金田一の推理。辰夫が死ねば緒方夫婦に財産。だから、最初のは小六緒方夫婦の狂言。だが、その二人が殺人罪に問われれば、財産は光子へ。よって、後は、光子の狂言。最初の辰夫の死体と思われたのは、浮浪児。

2・花園の悪魔
s旅館の花園にアケミ(ヌードダンサー)の死体。首を絞められている。服は着ていない。死亡推定時刻。22日、夜9時ころ。絹のマフラーがまきついていた。
アケミから前もって電話。「連れが8時ころにいく。自分は遅れる。返さないで」
アケミの所属事務所。マスタースズキの話。「山崎斤の助のマフラーです。ヌーデスト全員と親しかった」オチヨの証言「この前、ナオミと百草園へ行った」
ひと月たっても斤の助の行方はつかめない。
金田一の推理。女中の証言から、黒メガネ、マスクで顔を隠していた。誰も、でていく男を見ていない。ということは、殺す時暴れて血が男のコートについた。それで、男は、女の帽子、服を取って、きて外へ出た。
ひと月後。駅の荷物預かり。
血の付いた男の服がでた。斤の助の物。でも、女装の男は捕まらない。
金田一の調べ。「同じ日、一人で泊まった男性はいないか(精液の痕跡があったから)」
女中。「いました」
金田一。警部を百草園へつれていく。そこで謎を解く。
「ナオミが斤の助を殺してしまったんじゃないか? 昨日、ふと疑問に思って、ここにきてみたら、男の死体があった」見てみると、穴の中に本当にある。
「ナオミは、服を一切持ち去って、翌日まで生きている芝居をした。まず、s旅館に電話をした。私は、アケミだけど、斤の助という男が先に行く。返さないで。で、ナオミは男装していく。アケミにも電話して、8時半にこさせる。そこで殺す。そのとき、血が男装のコートに飛んだ。そこで全裸にして、斤の助が殺したよういに、マフラーを置いて、自分は、女装に戻って帰った。そして、それを知っていた事務所のマスターが男の仕業と思わせるために、犯した。ナオミを好きだったから」

ほかにも驚きの推理が二つ。

「なみだ菖蒲」(お医者同心)和田はつこ
なんだかよくわからない。
帯に書いてあるのは、「大店を襲う惨劇は、はたして蛇のたたりなのか?」
どうも、この手の内容は、つかめない。
記憶に残ったのは、ヒロハラワンデル(ラベンダー)がこの時代にもあったこと。あと、カミツレカモミール