福家警部補の挨拶

「福家警部補の挨拶」(大倉崇弘)
帯にも書いてあるけど、本当にコロンボだわね。最初に殺人事件があって、犯人はわかっているの。それを小さなミスを見つけて、暴き出すの。お見事。
1・最後の一冊。
めずらしい絵本ばかりを集めた図書館があるの。犯人はそこの司書長。ある会社のものなの。で、オーナーはそこを売ろうとしているの。維持費がかかってしょうがないから。(20人いた司書が今は7人)
司書長は反対しているの。最近、ある大学をスポンサーにみつけてきたばかり。で、ある夜、オーナーをこっそり呼び出したの。貴重本を盗ませてあげるから、売れば数百万になるなからと言って。オーナーの男はのこのこやってくるの。
それを殴って殺して、その上に本棚を倒すの。落ちてきた本にあたって死んだように偽装するの。合鍵をそこにおくの。手に持っていた缶コーヒーの缶はかたすの。
翌日、福家警部補が犯人のもとにやってくるの。
そして、合鍵が二つあったこと、さらには、被害者の胃の中にコーヒーがあったのに、缶がないことから、これは殺人事件だというの。
で、細かいミスを重ねて、司書長が犯人だと断定。でも、よくわからない。

2・オッカムの剃刀
柳田は池内を暗闇で殺した。柳田はかーびんぐ(複顔の大家)。池内はその弟子。
柳田は、過去に13件の骨から被害者特定のできるような復元を行い、12件は成功。しかし、近くの草むらから出た一体だけは、復元できなかった。
池内はヘビースモーカーで、珍しい煙草を吸っている。それは、大学と教授の家の途中の店にしか売っていない。池内は、ここで、新しい煙草を買って、すぐに赤いライターをもらい、二本吸った。柳田はそれを見ていたので、その新しい箱はそのままに、古い箱もポケットに戻した。中に黒いライターが入っている。彼が大学を出る前に盗んでおいたものだ。
さて、翌日、福家がきた。
なぜ、二箱も吸いかけを持っているのか疑問。福家の推理は、柳田がした通りだった。つまり、煙草を盗まれて、ないので、途中でタクシーを降りて、煙草を買って、吸った。そこがたまたま薄暗い場所だった。つまり、これは、池内と親しい人の殺人だと断定。
さて、その夜、柳田はある男Aを、公園の急な階段から落として殺す。そして、彼の部屋に、池内の血の付いたマフラーを置いておく。これで、Aが犯人だと思われるはず。
Aには金を渡して、数日間、マンションでくらさせておいた。
福家警部補が調べると、Aは浮浪者なのに、金回りがよくて、毎日酒を飲んでいた。残飯アサリもしなかった。それで、福家警部は。金を渡した犯人がいると断定。
それから、福家は、池内のパソコンの削除されたデータを復元して調べる。すると、そこには、復元された女性の顔のモンタージュが乗っていた。それは、柳田教授の死んだ奥さんだった。
それで、柳田が奥さんを殺して、池内がそれをネタにゆすっていたと断定。柳田を呼び出し、ひっかけをする。
池内が、途中の店でもらったライターに柳田の指紋がついていたと嘘をつく。
柳田は驚き、「これに? 嘘だ」と赤いライターの写真を撮る。それをみて、福家が言う。
「あなだが犯人ですね。途中の店でもらったライターは赤。ということは、犯人以外は知らない」

他にも驚きの謎解きが。