御宿かわせみ2・江戸の子守歌

御宿かわせみ2・江戸の子守歌」
1・江戸の子守歌
かわせみに子供を残したまま姿を消した夫婦がいる。探していると、浅草の聖天裏にいるという。夫(善三)は奥山の小屋で出刃打ちをしている。文字の形に打ち抜く。妻はお鹿。
東北を流れているとき、大病をした。そのとき、好い金ずるをつかんで江戸へ来た。
麻布(兄の妻の実家)の義父に呼ばれた。七重との結婚をほのめかされた。七重は、るいのことを聞いていたので、こっそり、東吾に、私は身を引きますという。
子供、(お文)に着物を作ってやろうと、紅花染めの店へ行った。そこで、下着が紅花染めの黄色だったことを話す。すると、番頭がお才という女を連れてくる。出羽の国天童の紅花やの女房で、さらわれた子供を探して、江戸に来ていた。お文を見ると、抱きしめた。母だった。かどわかされたのだ。

2・お役者松
深川の夏祭りで、東吾の懐にすりが財布を投げ込んでいった。「お役者の、すまねえ」と言った。その後、すりが帰ってきていった。「お役者の兄貴」と。東吾が違うというと、逃げて行った。財布の中には3両と紙切れ。
「こうきちを返してほしければ、10両もって、本所萩寺、7日亥の刻。みかわやこうべい殿」とあった。
同僚に聞く。「お役者松かな?」。そして、ゆすられたのが、本所の三河屋幸兵衛。ここは酒屋で、幸吉(20)という子がある。
店へ行った。若女将は(先妻)は芸者あがり(おさん)。幸吉を生んで出て行った。乳母(おク二)を嫁にした。
お役者の松が東吾を訪ねてきた。「すりはやめた」と言った。「市介がすった」彼の妻子が病気。三両を返してくれ。東吾が懐から出した。
萩寺へ、下手人はこなかった。おクニが行った。三日後、三河屋へ泥棒が入った。50両を盗まれた。おクニの申し立てがあやふや。
おクニがそそくさと出かけた。百姓やでおさんと会った。おさんが包丁で突こうとした。幸吉がおクニをかばった。重症。50両はなし。
50両は、おさんの新しい男、達吉がもっていた。

3・迷子石。
湯島天神別当寺、善見院に「奇人迷子石」あり。おすず(5歳)を探している母がいる。目が悪い。辻斬りが横行している。
畝と源安がきた。池田や吉兵衛が比丘尼橋へ来たところ、池田やが行くところがあるといった。そして切られた。見事な剣使い。同心は研ぎ師が怪しいとにらんだ。心あたりがある。下谷黒門町近く。辻斬りが出没していない。佐吉。5歳の女の子(おすず)が迷子になった。今は青竹売りをしている。
るいがかわせみの近くで倒れた女を救った。迷子石の所にいた女。佐吉はおすずを狂ったように探していた。
四谷で女の子の死体が上がった、と佐吉へ知らせた若衆がいた。寺の境内だったが、町方へおしつけるために外の道においた。妻はまだ迷子だと思っている。
かわせみへ行った。佐吉が青竹の中から刀を出して、「おすずを出せ」とおるいに叫んでいた。妻の後を追ってきたようだ。東吾が刀をはねあげると、佐吉は大川へ。死体となって発見された。

4・幼馴染
植甚の息子、清太郎、お糸は夢中になっている。清太郎は、おていという言い交した女がいる。葛飾から出てきた、幼馴染。
東吾がるいを井筒屋へ引っ張っていく。そこにおていがいる。あか抜けていて、同僚の話では、ご主人の恋人とのこと。
井筒屋で300両がなくなった。商売がうまくいかなくなって、高利の金を借りて、返すようにためた金。おていが主人の部屋から出てきた。おていを問い詰めると、「清太郎に渡した」と言った。清太郎がしょっぴかれた。清太郎は認めた。金は山に埋めたというが出てこない。
そのことをおていに話す。おていは泣き出す。おていはいう。「井筒屋の主人に言われて、狂言を売った。金はもとからない」
おては清太郎がお糸と仲が良くなったので嫉妬して、芝居を打つことを了解した。

6・宵絶句
強盗が出た。町方の夜回りが2人ほど切られた。五井のお嬢とるいは友達。五井家は落剝してしまった。兄が小梅の瓦やの主人に頼まれて用心棒をしている。兄、兵馬はるいに惚れていた。
盗賊には突きの名手がいる。兵馬が名手だった。盗賊に兵馬がいるんじゃないか?三年前から突きの死亡者が出ている。兵馬が雇われたのも三年前。
東独に入られた商家を調べた。昨年の夏に屋根を修理している。その夜、瓦やが家を出た。尾行した。盗賊に入った。捕り方が応援にきた。嘉介の家へ、兵馬が押し入ってきた。るいと戦った。殺さなかった。昔惚れていたからだ。

7・ほととぎす啼く
菖蒲売りが出るころ。南新堀町の油問屋、山崎や。変なことばかり起こる。味噌汁に変なものが入っていた。彦兵衛が大川へ突き落とされた。突き落としたのは背の高い男だった。でも名前に傷がつくので、お上へは届けない。
るいの話。「お小夜(21)の婿には、手代の新吉がなるだろうとの噂だった。そこへ彦兵衛が(35)が来たので、驚いた」
山崎屋の治助が殺された、と薬売りの女の話。彦兵衛が鍼治療から帰ってみると、沓脱石のところにお小夜が倒れていて、石灯篭の下に治助が下敷きになっていた。死んでいた。
小夜の話。「曲者が戸をたたいた。開けたら、首を絞められた」よく調べると、沓脱石の下に、お小夜の帯揚げの端が。残りは風呂場の焚口につっこんであった。
彦兵衛にといただすと、話す。
「昨晩、帰ってくると、二人が倒れていた。治助はまだ息があった手には帯揚げの端」
お小夜を問い詰める。
「曲者と争っているときに、治助を突いた。それで治助は、灯篭にぶつかって、下へ」
彦兵衛は、二人が争ったと思ったので、帯揚げを燃した。
さらに調べる。150両の金が使途不明金になっている。新吉の行李からお小夜の恋文が出てきた。
新吉の言い分。「あの文は、結婚前の物」
治助はそのことを知っていて、お小夜をゆすっていた。
最初から調べなおす。彦兵衛は泳ぎが得意だった。夫婦の間はうまくいってなかった。
東吾の推理。
彦兵衛は金が自由になると思って、山崎やへ養子に入った。しかし、番頭が管理していて、金は自由にならない。そこへ、妻が新吉にぞっこんだという噂。そこで芝居を打った。
味噌汁にネズミ取りの毒を入れたり元右衛門を使って、川へ突き落とさせたり。
元右衛門は、成功したのに金が入らないので、喧嘩した。いよいよ金を手に入れなければならなくなった。彦兵衛は、鍼治療に行くと言って、覆面をして、お小夜を呼び出した。帯揚げで首を絞めて、仮死状態にし、そこへ、騒ぎを聞きつけて出てきた治助を殺した。

8・七夕の客
お吉が言う。「5年間、毎年、七夕になると、止まる客がいる。向かいの部屋、男と女、女の方が年上。親子ほど年が離れている。話はしない。見るだけ」
東吾は植木屋へ七夕の竹を取りに行くように兄に頼まれる。植木屋の大将が足を痛めている。そこは霊厳橋のあたり。
大将の話。「酒問屋、三河屋の番頭にいやな噂。数年、金使いが荒くなり、吉原の御職を見受けして囲った。ご当主は20で、叱れない。」
尾行。45くらいの番頭が出てきた。亀島橋で、金とみえる袋をならず者風の男に渡した。
途中で岡っ引きに会ったので、尾行を頼んだ。いった先は、品川の女郎屋だった。
昔、三河屋では、酒が腐るという事件があった。先代が死んだあと。そのとき、すべて捨てて、新しい酒を仕入れた。大金が必要だった。親戚が立て替えた。後家のお柳さんに気があって、その年のうちに、お柳さんは、親戚へ縁ずいた。
その後、息子の新兵衛が当主になった。20歳。三河屋へ行った。新兵衛が出た。尾行した。女郎くもの松と争っていた。松は逃げた。新兵衛は言った。「おっかさんが危ない」
番頭の藤七のはからいで、七夕にかわせみに泊まる。しかし名前は別人。母も。
藤七は、品川のならずものに金を渡して、私と母を切る気だ。かわせみへ。東吾がとびこんだ。母は助かる。

8・王子の滝
東吾が女と部屋で内緒話。三日後、女が東吾へ届け物。中は言わない。かんざしは高そう。金持ち。尾行する。蔵前の札差、大和や伊平のお内儀、おすず。
翌日。王子の岩屋弁天でおすずが殺されていた。首を絞めて。大和やの口から東吾の名が出た。
おすずは8年前、東吾に惚れていた。くどかれた。
おすずが王子観音へ行ったのは、妹が産み月のため。駕籠で、六義園前から飛鳥山を通って、不動の滝へ。
おすずは家付き娘。養子は伊平。式部家から。
式部家は、伊平が養子に入ってから、数千両の借金を大和やにしている。しかし証文がない。伊平は探したようす。
東吾の推理。
証文を隠したのはおすず?
伊平は式部左京の妾の子を養子にするつもり。おすずは妹の子を養子にするつもり。
式部左京の妾のおさきが、おすずに成り代わってきたのではないか。小石川白山下に住んでいる。
東吾、お菊に芝居を打たせる。
お菊はいう。「御堂の下へ、姉が何かを投げ込む夢を見た」
式部左京がきた。東吾はいう。「10年先までの禄米を抵当にして、利子ともども4千両。ちょっとすぎるなあ」
おすずが恋文かわりとして、東吾に預けたものだ。二人は切りあう。式部左京を逮捕する。