七度狐

「七度狐」(大倉崇弘)
本格も本格、超本格。
千葉の田舎の方のむらで、落語家古秋の跡目相続の会を催す。ここで古秋の名前を継ぐ者を発表するのだ。
主人公の碧は、上司の牧に言われて、急きょ、参加する。ちなみに古秋とは有名な落語家。主人公は、季刊落語の編集員。夢風という師匠が面倒をみてくれる。夢風は古秋の預かり弟子。
村へ行ってみると、木島さんの犬が頭を割られていた。
6代目古秋には3人の息子と、一人の娘がいた。三人の息子は、それぞれ師匠。名人級。
三男、古吉。次男古春、長男古市。長女、瞳子
さてその夜、旅館の雨漏りがした。夢風が屋根の修理をした。8時から10時ころまで。
その近く、老婆が叫んでいる。「これ以上知恵のことを詮索するな。父親のわからん子を産んで出奔したからと言って」(これは後への伏線)
7時半頃、古春は風呂、その後姿消す。
4時間後、あぜ道に浴衣、血だらけ。田んぼの中に白い手。近づくと人間。古春の死体だった。旅館に運ぶ。他の師匠二人は、部屋で稽古をしている。
牧の推理。昨晩は大雨だったのに、血の量が多すぎる。どこかから運んで、血も撒いた?
古吉の証言。風呂の中、古春の天神山のけいこの声は7時15分に途切れた。
碧の推理。男の体を田に投げこむのは女では無理、瞳子は容疑者から外す。この事件は、古秋の跡目相続に絡む殺人だと思う。
5代目古秋が45年前に行方不明になった。それもこの村だった。6代目は5代目の弟が継いだ。
竜三(老人)が倒れる。駐在は道隆のアリバイ調べ。彼は一番筋骨隆々としているから。8時半には村に戻っていた。
駐在の中村の推理。老人の古秋、竜三、旅館の父も除外。残るは、古市、古吉、良吉、道隆、夢風。
45年前、狐坂で狐を見た少女がいた。それで、5代目は狐に連れ去られたといわれた。
公民館の物置で地蔵を探していて、人骨、頭がい骨が現れる。5代目のしゃれこうべか?
そうこうするうちに、古吉師匠が殺された。
「恋しくば、訪ねてきてみよ、遥かなる杵追村の森の中まで」の書があった。達筆。
古吉はめくりを書いていた。現場のすみは荒らされていない。犯人がメッセージを書くためにすった?正午から3時の間。
古市は言う。「自分は、利き腕がけが。立派な文字は書けない。
碧の推理。七度狐の見立てではないか?
一度目、すりばちで狐の頭を割る。→犬の頭が割られた。
二度目、川を渡る→びしょびしょの田の中の死体。
三度目は地蔵。→地蔵のある物置を探していて、しゃれこうべ。これは、夢風が言い出したことなのだが。だとすると、45年前の犯人が、今回もやった?
(そうなると、老人しか可能性はなくなる。この時点で、老人の三人に絞られる。でも、夢風が地蔵を探しているのは、変。)
牧の推理。45年まえ、5代目古秋は、7度化かされる話を復元して、した。竜三じいさんは、それを聞いている。それで、地蔵があったところで、人骨が出てきたのを見て、驚いたのか?
45年前、狐を見た良子の話。老婆から聞く。カンテラに狐が浮かび上がった。→、宿の浴衣の模様が狐。誰かが古秋(先代)をおぶって、捨てに行ったか?
古市は言う。「あのメッセージの文字。先代の古秋の手にそっくり。私は残っている書を見た。先代の古秋師匠は生きている」
となると、あのしゃれこうべはだれの物?
そういえば、先代にはテレポーテーションの噂があった居酒屋にいるのに、ラジオの生放送に出ていた。
つまり、声のそっくりさんがいた。(顔も似ている?)そいつが、古秋に化けてここへきて、殺されたって、事?
(感想。ここがいけない。あまりにも複雑すぎて、読者にはついていけない。単純なら、もっと売れるだろうに。それに、45年前、声のそっくりさんが来ても、顔までそっくりなはずはない。となると、6代目(弟)にはバレただろうし、弟がそいつを殺したとしても、本人が出てくればいいだけの話だし。そあれに、現代、もし5代目が誰かに成りすましていたとしても、顔は6代目(弟)に似ているのだから、バレないはずないし。どっちにしても、彼が陰で殺しをしたとしても、動機はないし。そうとうな老人なんだから、さっきの三人の老人の中にいるだろうし。夢風はミスディレだろうし。)
さらにこの先は、知恵の産んだ子は、実は先代の古秋の子で、誰かに化けているといろいろある。といったって、落語家でいきてなきゃ、話に絡んでこないのだから、夢風に限定されるのだが。まあ、ここから先はあまり面白くない。動機もどうせ、見立てだし。

ところで、橋本市長が、文楽補助金を打ち切るって、言い出したの。許せないわね。
「あやつられ文楽鑑賞」なんかを読んでみるとわかるけど、皆、必死に文楽を守ろうと努力しているのに。そういえば、この前も、オーケストラの補助金を打ち切ったし。文化を大事にしない人に未来はないわね。橋本君、大嫌いになったわ。