幽霊殺し。御宿かわせみ5

「幽霊殺し。御宿かわせみ5」平岩弓枝
1・恋ふたたび。
かわせみの納屋に小さい子(5歳くらい)が迷子になって、一晩過ごしていた。
日本橋本町三丁目、中村屋伊兵衛、正吉、5歳と書いた下着を着ていた。
中村屋に知らせると、大騒ぎをしていたが、当主は、妻の身なりを気にしたり、何かちぐ
はぐ。
そうしていると、中村屋の長男の甘酒にとりかぶとが入っていた。薬種問屋なので、ある。
根が神経痛の痛みどめの効果があるので、扱っていた。
手代の一人が、正吉に、その話をしたと証言。正吉も認めた。長松は先妻の子。正吉は後
妻の子。母は正吉には厳しかった。
中村屋の夫婦がやってくる。長松はその夜、寝かされていたが、薬を飲んで死んだ。
とりかぶとが薬にごっそり入っていた。正吉のもっていたとりかぶとは母が取り上げた。
正吉に最初の事件を聞く。「兄にあまりにいじめられるのでやった」という。
母おとせと正吉はしばらく番屋におく。当主の伊兵衛には二人の妾がいる。二人とも、
昨日は家にいたと、女中たちが証言。一人は、柳橋の芸者。二人目はおはま。女中に当主
が手を付けた。
おはまは昔、長左衛門(番頭)と一緒に働いていた。長左衛門は、今でも独り身、忠義者。
天袋に、女物の長じゅばんとおしろい一式が隠してあった。大柄の人の物。
東吾のアイデア。それを元に戻して、張り込み。
長左衛門が女装をして、当主の部屋に忍んでいた。長左衛門が嫉妬して殺した。

2・奥女中の死。
ある夜、奥女中みよじ(水戸藩の)がかわせみに泊まりに来た。つれが来ると言ったが
来なかった。深川の大忠の娘。40過ぎて、水戸藩から暇を出された。向島に寮を建て、
住んでいる。本名はお勝。東吾はその寮にいった。うれしそうだった。
変な男がうろついているので、気を付けて欲しい、と言われた。その後、るいと一緒に
行った。がっかりしているようだった。その後、お勝が死hんだ。着物を届けた丁稚と
一緒に。心中?
丁稚は初めて。メンツがあって、無理心中したんじゃないか。

3・川のほとり。
東吾、剣術道場。方月館の師範代。
狸穴へ行く。おとせと正吉が住んでいる。泊まることが多い。女が正吉に年齢を聞いた。
紙問屋万屋小兵衛の所に嫁がきた。祝言の日、寝入るのは離れ。おとせが花嫁衣裳を脱が
し、離れへ連れていくと、夫が死んでいた。胸を刺されて。
藤太郎(新郎)は体が弱く、寝ていることが多く、恨みを買うはずはない。
藤太郎は先妻の子、後妻の子は、小さいころ、川へ落ちて死んだ。あの年を聞いた女が
後妻だと聞く。
正吉が、方月館の手伝いの男に連れられて、母を探しに万屋へ来ていた。勝手口でかなり
長い間待っていた。正吉に誰か出てこなかったかと聞く。
「あのおばちゃん、年を聞いたおばちゃんが青い顔をして出てきた」と証言。
それは、万屋の後妻。話を聞く。するという。
「藤太郎は、後妻の子が川へ落ちるとき、動かないで見ていた、という人がいる。それで、
憎くて、殺そうと思っていった。でも、死んでいた。」
実は、藤太郎は、その夢を毎晩見て、うなされていた。精神の病気に侵されていた。
嫁を貰っても男女の行為ができないので、反対していた。親に無理に祝言を上げさせた。
それで、自害。

4・幽霊殺し
落語を聞いた。内容。浅草、橋場の寮で、お内儀が病死して、幽霊が出た。最初は着物が
欲しい。二日目は、サンゴの簪と鼈甲の櫛が欲しい。こりゃ、幽霊じゃないと思って、
主人が刺した。女中だった。女中は死んだ。兄弟に金を渡して、ねんごろに弔った。
女中の出は、洲崎の漁師の多助の娘。主人は武家の出。浪人だった。
本所界隈の大名屋敷に、盗人が入っている。メンツがあるので、届け出ない。
麻生の義父から、調べるように言われた。野分のさぶの一味。15年前、同じような仕事
をした。3人が捕まった。そのとき、「大名屋敷は仕事がしやすい」と言った。寝ずの番
は一部屋。奥は女だけ。3人が捕まらなかった。
麻生の義父が黄金仏を手に入れたとの噂。これは、強盗を引き寄せるための策。
強盗の生き残り、源八、お小姓の若、辰三郎。
このうち、源八と辰三郎が押し入って、待ち受けていた東吾たちにお縄になった。お小姓
の若は? あの落語の中の女中じゃないか?

5・原三郎の恋。
白金村の本妙寺の庵で、源三郎の母のよねが、お灸の治療をしている。庵主様は、紫香尼。
幸庵という医者がいる。脅し文が立て続けにきた。親の仇とある。医者の所で死んだ人間
は多い。心あたりがない。早道場で突き飛ばされて、けがをした。おつまの所へいく途中
だった。高聖寺の住職の光照の妾。
光照は医者に化けて、通ってくる。源さんが紫香尼に布団を寄進した。
光照が殺された。よねがお灸をした後、毒が入れられた。源さんがわさわさしている時、
草もちを食べた。東吾はおつまに会いに行った。
紫香尼は、恋人がいる。妙玄。妙玄は寺の金を使い込んで、破門になりかけていた。
それで、紫香尼と相談して、光照を殺すことにした。自分に疑いがかからぬように、幸庵
と間違えたように細工した。彼には脅迫状がきていたから。
これにもからくりがある。実は、洪庵が偶然、新堀川で人とぶつかって、川へ落ちそうに
なった。派手に騒いだので、利用した。脅迫状を送りつけたりした。紫香尼は、源さん
という証人がいたので、一緒にいたといわせようとして、毒をいれたりして、うまく利用
した。

6・秋色、佃島
日本橋、南、阪本町の左隣、日吉山王の御旅所と薬師堂がある。八丁堀の膝元。
三春屋の手代と名乗る男が、まんじゅうを配った。毒入りまんじゅうだった。
三春屋は知らない。三春屋に恨みを持つものじゃないか。一人は漁師のような手。
つかまらなかった。
そのうち、かわせみに三春屋の手代という男(伊の助)がお詫びにきた。お内儀が体を
壊したので、お見舞いをしてほしい。一緒にいく。途中の船に乗せられる。
鉄砲洲の方へ。首を絞められて、失神。
一方、東吾は話を聞く。三春屋に伊之助という手代はいない。探す。おとせが来る。
途中、三の橋でるいをみかけた。
先代の三春屋を調べる。娘がドラ息子に侵されて、自殺。いいなずけがいた。伊之助。
それを調べたのが、るいの父親。伊之助は鉄砲洲の漁師の息子。
一方、るい。男がいう。恋人の復讐だ、犯してから殺してやる。そのとき、血を吐いて、
死ぬ。妹がかけつける。東吾も。

7・ 三橋渡った。
煙草問屋、伊勢屋藤四朗の店。子供が捨てられていた。翌日、男が来る。
「女房に死なれて、自分も死のうかと思った」子供を引き取る。
数日後、また子供の声。大戸を開けると、強盗。8百両盗まれた。数件、同じような強盗
があった。
男は、誠之助という仕立て屋で、住まいは、浅草カラス長屋と言っていたが、そんな奴は
いない。あちこちで同じような事件あり。これは騙りでは?
赤ちゃんをたてに戸をあけさせるのが手口。
かわせみに雨宿りの子守女がいた。家に入れてやる。赤ちゃん、熱がある。医者。
女は口を開かない。
手術をしても、目が見えるかどうか、という赤ちゃんがいる。その話をすると、女が口を
開いた。実は、盗人の仲間。赤ちゃんが高熱を出しているのに、医者に見せないので逃げ
てきた。女自身も小さいときにさらわれた。男たち逮捕。女の実家のそばに三橋がある。
実家がわかる。