ほお付きは殺しの口笛。御宿かわせみ7

「ほお付きは殺しの口笛。御宿かわせみ7」平岩弓枝
1・春色大川端。
材木商檜屋の主人が木曽で死んだ。伴の物とはぐれ、山の中で。娘お志津がかわせみへ
相談に。店で、味噌汁に毒物がはいっていた。店の連中が腹を下した。
当主には妾がいる。浅草の橋場に、おえん。幸太郎という5歳の子がいる。
妾が店に乗り込んできて、騒ぎがあった。「自分の子と認め、成人したら、のれん分け
して、店を持たす」
ご当主の弟(又五郎)夫婦のせがれ、弥吉をお志津と夫婦にさせようとしている。
そのせがれ、弥吉が死んだ。木場の堀の中で。番頭の忠七にはいいなずけが、木曽にいる。
葬式の日、幸太郎がぼた餅を食べて、死。いわみ銀山のネズミ捕りの毒。
ぼた餅は、ずっと仏壇に上がっていた。
又五郎夫婦がしんだ。酒に石見銀山が入っていた。まだ忠七が戻っていない。
5つ半(午後9時)に店へ戻り、橋場へ。おえんが首をくくった。
お志津が店へ戻る。手代たちは、皆、暇を取らせた。忠七に言う。
「おえんを殺したのはお前ね」
「そうだ。伝七との仲に気が付いて、やきもちを焼いたからさ」
「お父っつあんを殺したのもお前ね」
「そうだ。俺とおえんとの仲に気が付いたから。」
忠七、お志津に飛びかかる。東吾と畝が助けに入る。
忠七の言。「人を殺すとすっきりする。二人の子供も自分がやった」

2・ほうづきは殺しの口笛。
葛西から野菜売りの船が来ている。若い娘がほうずきを鳴らしている。
その娘、(お三重)が相談にきた。母は6歳の時、悪い男に騙されて家を出た。
橋場で母によく似た女を見て、聞いた。が、違うと否定されてしまった。
東吾、小梅村の近くの橋場まで行ってみる。そこに客。主人は兄と名乗り、やはり
住んでいるのは違うという。
お三重の兄の話。母をかどわかしたのは、旗本の息子。久乃丞、押上村の常照寺に
いた時のことだった。
母(おとく)は金を持ち出した、5両。万古焼の売り上げ、150両があったのに。
久乃丞の本名、忠三郎。それに、小鳥やの娘が惚れきっている。
忠三郎を尾行。谷中の荒れ寺、浄光寺へ。そこにはおとくの家にいた兄と称する男もいた。
江島やへ、例の一味が忍び込む。兄と称した男が手引きをした。捕り方が入って捕縛。
忠三郎がいない。橋場ではないか。おとくが切られる。岡っ引きの久三も切られていた。
押し入れから、手足を縛られたお三重が出てきた。
お三重は、おとくに縛られたといった。おとくがほおずきの音をさせていた。
忠三郎に、お三重は、ほうずきを鳴らしていると言って、自分が鳴らして切られた。
忠三郎、お縄をすり抜けて、逃げた。

4・玉菊灯篭の女
吉原で、玉菊花魁をしのんで、華々しく、とうろうを飾る。
惣マガキという大見世の花魁が仲の町の茶屋に出向いている。
どこかの女房が佐野槌の紅葉のにかみついて、喧嘩をしていた。
数日後、紅葉野が刺された。刺したのは、日本橋、本石町、塗り物問屋、唐木屋のおかみ、
おその。
当主(養子)は死んだ妹が、紅葉野にそっくりだったので、話をしに行っていただけ。
女房のおそのが首をくくって死んだ(蔵で)
紅葉野は、傷が治ったら、好きな男と一緒になる。
平八(岡っ引き)がおかみさんに頼まれて、紅葉野を呼び出したらしかった。しかし、
平八は知らない顔をした。おかみさんに、腹違いの妹、おいせがいた。
東吾と畝が細工をした。吉五郎に手紙を書いた。聞きたいことがあるから、明日、奉行所
へ来るように。その夜、平八が唐木やへ行った。
蔵の中で会ったのは、おいせ。おいせは麻の紐で、平八が首をくくったように見せて、
殺そうとした。しかし、東吾たちが入って、止めた。
すべては、おいせの策略だった。紅葉のとできていると言って、気の強いお内儀をたきつ
けたのも、おいせ。内儀を殺したのもおいせ。

5・能役者、清太夫
およねの還暦の祝い、新両替町、に行く。能役者の家が多い。およねは麻生家の女中。
となりの進藤源七の弟、清太夫の声は、いい声。清太夫は妾バラの子。最近来た。
太夫は、大山の御師の子。大山能が盛ん。小さいころから皆、稽古をつけてもらう。
進藤家も(ワキ役)よく行っていた。
御師とは、大山詣での案内役。
水戸様の上屋敷(小石川)に賊。鉄砲などを盗んだ。当日、能の催しがあった。
水戸家では秘密。「かわせみ」の客が行方不明。(帳場に20両あずけたまま)
名は、加藤二太夫。大達弥平衛の証言。
加藤は、石尊大権現の本堂修復の寄進集めに、江戸へ来ていた。
るいが進藤家へ訪ねていく。加藤二太夫は来ていない。他の御師に聞いた。
「清太夫はすぐに帰るのtいったのに進藤家に入ってしまったので、里では、皆、裏切り
者と言っていた。」
しかし、清太夫は、自分は、声が悪いと言っていたのに、変。
太夫は清太夫をなじりに行ったのではないか。
小梅村に、進藤家の別宅がある。そこに養生にきている妻、お利恵が身ごもった。
亭主は春に死んでいるのに、身ごもったのは夏。清太夫がよく来ているので、彼の子
ではないか。
蔵前の札差、伊勢屋(千両)、京橋の両替商、佐野徳、(7百両)、新川の酒問屋、田丸や
(200両)が盗まれた。千両は、一ツ橋家へ納める物だった。
ほかも、武士が戸をたたいたので、開けてみると、支払先から来たと言って、堂々と金を
もっていった。後で、そこに聞くと、使いは出してないといった。
内部に手引きした者がいる。賊は、伊勢屋と佐野徳に借金をしている旗本ではないか。
調べたら、両方に借金をしている旗本があった。大川権座衛門。200石。
そこには、門の助という息子がいる。が、家出中。彼は大変な天才で、小さいころから
能が非常にうまかった。それだ!
門の助がどこかで、本物の清太夫に会って、入れ替わった。両家へ出入りしている。
小梅の別宅へいく。清太夫の死体が。捕縛する。

7・冬の月。
女中のお吉の弟、嫁ぎ先の姑がかわせみへ出てきた。姑は家を出た。結城紬の機織り
をして、一人で暮らしていくという。
近所に気の短い老人がいる。子供を杖でぶったとき、おふきの繭桶もひっくり返した。
それが縁で話すようになった。しかし、老人の家族が、老人が一人住まいの女の所へ
いくのは、体裁が悪いと言って、家から出さなくなった。
一方、おふきの家でも、嫁が姑をいびりだしたようで、体裁が悪いと迎えに来た。
おふきは家に戻った。結城紬一反を置いて。近所の老人は、また、物にあたるように
なった。

8・雪の朝。
男と女が止まった。10両を帳場に預けた。大雪が降った。
植木屋の市五郎、気が向かないと、仕事の途中で帰ってしまう。
畝、呉服屋から相談を受けた。おきたという女、よく働くので、養女にした。
すると、養い親が病気というので、百両渡した。しかし、そのまま消えてしまった。
語った地元にいくと、語った両親はいない。
かわせみに泊まっている2人、駆け落ちものと判明。家は茶農家。10両盗んできた。
しかし、職がみつからず、帰って行った。小丸屋へ賊が入った。つかまえてみたら、
おきただった。