夜烏おきん、御宿かわせみ12

「夜烏おきん、御宿かわせみ12」(平岩弓枝
1・酉の市の殺人
おおとり大明神の祭り、葛西花又村のおおとり神社。浅草、橋場までは船で、そこから
陸地をいく。屋根船、こたつあり。
御納戸色の小紋に、繻子の帯、色っぽいお内儀をみかける。旦那は地味。
英盛堂の内儀だった。行くへ知れず。死体が荒川に浮かんだ。花又村でみた色っぽい女
だった。お紀乃。首を絞められていた。深川佐賀町に店あり。
花又村で、女房をしきりと見回していた。誰かを探していたようだった。
若い自分に縁談があった。神田の村田や。書き物問屋。相手も跡取り息子だった。なので、
破談になった。
畝の情報。花又村で、お紀乃は、村田や次郎衛門と約束をしていた。それで、わざと
はぐれた。
当主の妹、お三輪がくる。義兄が姉を殺したって噂、こちらで建てたのでは?
「昔、村田やに騙されて、金を貸したことがある」と、
「義兄が、次郎衛門を殺してやると言って、家を出た」と言った。
村田やへ行く。番頭の佐太郎が血まみれ。与平(当主)が次郎衛門に首を絞められていた。
佐太郎と次郎衛門は、召し捉えられた。与平の話。
女房は、だましとられた金を取り返そうとして、逆に殺されたに違いない。とい詰めると、
白状した。

2・春の摘み草。
深川の貸席の主人。喜左衛門。女中のおよねに手を出して、万太郎ができた。姑が
猫かわいがり。当主は、やくざまがいの乱暴者で、およねは離縁した。
主人は、その後、結婚はするなと言った。
しかし、飯倉の使用人が結婚願いに行った。それで、主人がナイフを持って、刺しに来た。
しかし、すんでの所で、尾行してきた万太郎が、かわりになった。

3・岸和田の娘。
代々木野。どこかの大名の姫がいた。肺炎で手当てをした。その後、江戸市中を案内した。
江戸の話をした。満開の桜。最後は泣いていた。岡部美濃の守の姫だった。

4・筆屋の女房。
深夜、かわせみに、神田三河町の筆や、盛村堂の妻、たかがやってくる。
事情があって、家を出てきた。東吾様に相談したいことがある。命を狙われている。
その夜は泊まる。
一応、番頭に知らせる。当主は、大山詣で。
「この前、白酒を飲んだら、急に具合悪くなった。豊島屋から買った白酒で、毒殺され
そうになった。三日間、ひな壇に飾られていた。それを最初に飲んだのが内儀」
「飾ってある間に訪ねてきたのは、近江洞泉先生(医者)の所のお蝶さんだけ」
奉公人は、皆、身元がしっかりした者ばかり。おたかのことについては、皆、無関心。
去年、おたかの父母が死に、陽助と一緒になった。おたかが惚れた。
陽助は、山形屋という琴三味線の店の次男。石見銀山のネズミ捕りの毒を団子に入れて、
撒いた。それをネズミが食べて、ふんが、白酒に入ったんじゃないか。
向島、近江やの寮で、お蝶が殺された。部屋の中で、頭を割られて。
お蝶は、一階で、琴の練習をしていた。二階は畳替えの最中で、おたかがいた。
首の後ろを殴られて、緋毛氈の上で。
東吾の推理。
二階に青竹が何本もある。それに小石を詰め、縄でたらす。二階からお蝶を呼んで、首を
出したところを、落とす。その後、女中たちがあたふたしている隙に、竹を元に戻した。
さらに、お蝶の毛氈を部屋の中央に戻して、ごまかす。
陽助の情報。
「自分が、お蝶と浮気をしていると疑っていた。それで。おたかは、白酒で騒ぎを起こし、
皆の注意を引きたかった。でも、冷たくされて、それでやった」

3・夜烏おきん。
畝が来ていた。
新川の伏見やへ盗人が入った。大戸はしまっていた。小僧が勘違いをして、桟を開けた。
小僧は殺された。
日本橋一丁目、木綿問屋、小島やなど数件が襲われた。共通点がある。皆、金のある日に
襲われている。小僧か手代が一人ずつ殺されている。
ふつうは、おかしいと思ったら、当主が見に行くのに。小僧が一番に出てきている。
京屋。手代の伊之助。ものすごい突きでやられた。
そば屋で聞いた話。
抜け参りが流行っている。伊勢参りなんだが、誰にも何も言わずに出かけてしまう。
伊勢参りというと、途中で、握り飯などや宿も恵んでもらえる。
そば屋の丁稚は、仲間に誘われた。誘った男が、気前がいい。いろいろ買ってくれたり、
小遣いをくれた。2分もらった。
その中に、十軒店の京屋の手代がいた。女郎屋の借金を立て替えてもらった。
京屋と言えば、今回、襲われた中に入っている。誘った男の名は、徳兵衛。住所は
知らない。夜烏のおきんから手紙がくる。
「麹町の名主、羽部与平を見張ってください。若先生へ」
麹町のそば屋へいく。羽部与平のいる麹町は、天下祭りと呼ばれる山王権現の祭礼に、
年番にあたっている。
大奥から、屋台の出し物について、注文がある。一台につき80両、全部で320両
が出る。それが名主の家にある。
そば屋の丁稚の所へは、40くらいの男が来ていた。あれが徳兵衛と言った。
その夜、与平の家へ賊が入った。
張り込みをしていた捕り方に捕まった。後で、おきんとそば屋で会った。
おきんはいった。弟が抜け参りに誘われて、帰ってきて話した。それが皆、今回、
襲われた店の手代だった。それで、徳兵衛だと思った。名主の件は、色々な情報から。

4・江戸の田植え歌。
千住大橋を上がった先、宮城村から、野菜売りの船がくる。良吉。
畝が来る。
吉野家の当主が妾宅で卒中で死んだ。お内儀から訴えが。妾がわざと医者を呼ぶのを
遅らせた。
その妾が、見受けの金を出してもらったあと、当主が死んだら、好きな相手と一緒になる。
良吉の死体が上がる。実は、良吉は、吉野家の死んだ旦那の妾の情夫。
妾、おけいがやってきた。
おけいの話。梶原村の家を私にくれると、お内儀さんから手紙をもらった。旦那の幽霊が
出て、妾に家をやってくれと言ったので、。
それで、梶原村の家にいた。それから。良吉とも話がしたいと、書いてあったので、良吉
がお内儀にあった。
東吾はお内儀(お里)に会った。
お内儀の話。良吉と話をした。旦那の大切にしていた家を売られても困るので、売らない
と約束させた。良吉は先に帰った。
番頭の話。
養子の平兵衛をはじめ、家族はみな、反対していた。良吉が死んだのは天罰。
るいの推理。
お内儀は、口ではああいってても、妾が幸せになるのは悔しかった。それで、帰る良吉
の船の竿や櫓を隠した。そうすれば、流れが速いから、ひっくり返る。
半月後。妾が啼いて、おしかけてきた。幽霊が泣いて出る。殺したのは内儀だろう、と。
お内儀、少しおかしくなる。それで、家をやった。

5・息子。
畝がやってくる。
神田皆川町の味噌問屋、伊勢屋勘平衛の店に強盗が入って、200両奪った。手代を殺し
た。棟梁の源太を呼ぶ。最近、襲われた7軒、すべてが源太が直しをした家である。
源太が使った中に、怪しいものはいないか。
ところで、襲った人。一人は、侍。浪人。けさがけが見事。もう一人はみせかけの刀。
そっちは職人じゃないか。
ある人の情報。源太の息子、小源は、一時ぐれていた。
兄、通乃信の推理。
源太親分が、最近請け負った家。大伝馬町の大和や。次はそこではないか。
しかし、源太は、町方に疑われているのを知っている。ゆえに、大和やは避けるだろう。
だから、大和やを襲えば、源太親子は、無関係。襲ってこなければ、小源が怪しい。
源太が、大和やへ泊まり込む。自分が、賊を捕まえるんだと言って。
大和やは、源太が、何も言わないので、困っている。
畝の情報。
奥山に鬼同丸と名乗る芸人がいる。居合抜きも、けさがけも見事。
大和やへ賊が入る。
鬼同丸だった。彼は職人の伍介と友達。
後ろから子源が助っ人に入って、捕まえた。小源は、自分が疑われているのを知って、
独自に、探索をして、伍介が鬼同丸と付き合っているのを知り、尾行していた。源太が
死んだ。

6・源太郎誕生。
足袋屋、布袋やの番棟、新七が売掛金回収のたびに行ったまま帰らない。
佐野で、当主と別れた。180両ほどもっていた。そこに馴染みの女郎がいた。
東吾は会いに行った。彼女の男、船頭の弥十。家を家探しした。50両ももっていた。
布袋屋のしるしの入った財布だった。新七の死体が、近くの川に浮かんだ。