メルカトルと美袋のための殺人

「メルカトルと美袋のための殺人」麻耶雄嵩
1・遠くで瑠璃鳥の鳴く声が聞こえる。
私、避暑地の林でうたたね。由美子を突然好きになる。飯田、狭山、蔵森が来ていた。久我山には龍神伝説がある。金色の龍がまつられている。大垣先生が、それを守っている。
増岡と飯田、その間、ゴルフ。
その夜、二時前、目を覚ます。そのとき銃声を聞いた。その後、また熟睡。目を覚ました。隣の部屋に行った。かんぬきを壊して、三人が入った。由美子がピストル自殺していた。全員が、周囲に。私はまた熟睡。
朝、増岡に起こされた。隣の表扉、中からかんぬき。横扉、私の部屋からかんぬき。
この状態だと、自殺か、私が由美子を殺したとしか思えない。警察はその方向。
その後、大垣先生も殺されたのが発見される。キッチンで撃たれて。この状況から判断すると、由美子が大垣先生を撃って、自室で自殺した。
メルは、次のことから、私の夢を見抜く。起きた時、フラスコの水を飲みほした。なのに、朝にはいっぱいになっていた。実は、大垣は、由美子を殺したがっていた、との証言。
メルの推理。私は、夢を見ていたのだ。催眠術をかけられていた。昼、うたたねをしている間に。由美子は大垣の子を妊娠していた。犯人は由美子を好きだった。だから、そいつが、大垣を殺して、由美子も殺して、私の部屋から逃げた。私は睡眠薬を飲まされて、眠っていた。催眠術をかけたのが犯人。増岡と飯田はゴルフなので除かれる。
佐山は杉アレルギーなので、林に入れない。
残るは一人、蔵森。彼は、昼寝している最中、近くにいた。動機は、大垣が守っていた金の竜神と、由美子。

3。化粧した男の冒険。
高松が殺された。化粧されて、ほんのり香水をつけられていた。
メルの推理。化粧したのはキスして、口紅がついたから。キスするくらいだから、犯人は女。AとB。Aはものすごく香水がきつい。Aが犯人なら、その匂いを消すために、もっと強い香水をつけるはず。そうでないから、犯人はB。

1. 小人閑居して為不全。
年寄りが相談にくる。神楽廣介。有名な画家。「息子か娘に殺されそう」「猫が殺された」
それでメルは老人と雑談をする。「師匠のAの『紅梅』はすばらしいですねえ」「ああすごいよ」相手は、話を合わせる。
帰ろうとすると、メルは言う。「あなたは画家の廣介さんじゃありませんね。息子のBさんですね。わざわざ変装してきたのは、父を殺してしまって、アリバイを作りたかったからですね」
相手は驚く。「どうしてわかったんだ?」「簡単ですよ。私が話した『紅梅』なんて、絵は、師匠のAにはないから。あなたは知らなかった。それで、適当に話を合わせた。それで嘘だとわかった」

他にも驚きのドンデン返しが三つ。是非読んでみて
ミステリーじゃないけど、今週は、「オオカミ子供の雨と雪」がよかったわね。泣けたわ。久しぶりに号泣よ。