富くじ始末

富くじ始末」幡大介
千両役者捕物帳の第四弾です。
まずは帯から。天才役者ながら、身分を偽って同心稼業を続けている千代丸は、行方不明になった主人を探して水戸からやってきた男・末吉を賊から助ける。主人の速水辰三郎は、水戸家の上屋敷へ働きに出たと思ったら、姿を消してしまったのだという。金のにおいをかぎつけた親方、貫太郎は、水戸家をゆするために、探索を始める。すると、當仙寺で行われている富くじの裏で、水戸家が影富(幕府の許可の富くじ)をやって儲けていることが明らかになる。千代丸は怪しげなお城坊主、河内山早春とともに、一座の興業に紛れて、寺へ忍び込み、水戸家をゆする羽目になるが。
さらに詳しく言うと。
市中見回りの最中に、水戸家の小物にすがりつかれる。速水辰三郎に富くじをもらったが、その後、追われるようになった。登仙時の物である。登仙寺へ忍び込む。お城坊主、内津山宗豊に会う。彼は、播磨の守と水戸家が結託して富くじの何割かを懐にいれているので、ゆすろうとしている。一緒にゆする話になる。
それは、影富をしているからだ。富くじは庶民の給料の20%もするくらい高い。それで、売れ残る。それでは困るので、安く影で売る。これが影富。それを侠客が一手に引き受ける。そのことを嗅ぎ付けた千代丸は、上司に報告し、芝居の興業の手入れという事で、手入れになる。やるのは寺社奉行だが。
感想。どうも、手を広げすぎてしまったって感じ。手入れをした後、水戸家がどうなったかを描いてない。まあ、現実は、水戸家はつぶれなかったので、どうも書きようがなかったのだろうが。尻切れトンボの感じ。