津和野殺人事件

「津和野殺人事件」内田康夫
これも糖尿病の教育入院の間に読んだの。入院中は、とにかく暇だから。二回も読んでしまったわ。それにしても字が小さい。超読みにくい。
もっともこれだけのボリュームだから、字を大きくしたら、子の倍の厚さになってしまうものね。しょうがないか。それにしても、津和野の歴史が詳しく書いてあるの。そのせいかしら、全体的に地味な感じだわね。昔よりずっと多くの人が殺されるのよ。でも周辺の人ばかりなので、超地味ね。この前に西村京太郎を読んだせいかしらね。西村京太郎は派手になったわね。赤川次郎の影響かしら。昔の、刑事が靴をすり減らして捜査するイメージなんて、微塵もないわ。超面白かったわ。
さて、筋。東京の染井霊園で、浅見光彦の母が死体を発見するの。で、最初は殺されて間もないこともあって、母が疑われるの。でも、警察庁長官の母だとわかって、すぐに警察は態度を変えるんだけどねでも、母は、疑われたのがよほど悔しかったのか、光彦に事件解決なさい、というの。それで、暇だった光彦は本気になるの。まず、殺されていたのは、津和野の朱鷺家の勝彦という人で、お墓に倒れこんでいたの。そのお墓が神津家の墓なの。で、光彦が墓石を動かしてみると、動くの。それで、骨壺の副葬品を狙っていた所を、別人に殴られて殺されたと推理するのね。
 で、神津家に訪ねていくと、叔父が、昔hのことに詳しいと聞くの。で、その叔父の神津Aに話を聞くんだけど、何か隠しているの。で、二日後、今度は、その叔父が津和野の近くのダムで殺されているのが発見されるの。毒殺だったのね。
で、これと並行して、樋口クミ親子の話も描かれるの。母のクミが津和野B神社の赤鳥居が妙に懐かしいと言って、見にいくの。すると、その道の途中にある茶店のバーさんが、お化けを見たような目をしてみるの。どうも、昔hにあったような感じ。おまけにホテルを教えると、そのホテルに宮津という男が来て、同じような目をしてみているの。
さて、翌日。ルイばーさんが青酸カリで殺されるの。前日にあったばーさん。それで、前日、親しく話し込んでいたクミが疑われるの。それで、ショックでクミは倒れるの。そこを助けたのが、光彦。さて、光彦は宮津老人がフロントでクミ親子のことを根ほり葉ほり聞いていたのを聞いて、宮津老人に会うの。すると、彼は言うの。『第四の殺人がおこるので、詮索は止めろって』いいわね。この言葉。これだけで、先を読む気になるわよね。さて光彦は、津和野の朱鷺家に乗り込むの。ものすごい資産家で、上、下、本家と別れているの。
で、本家の後継ぎは慶四郎というんだけど、養子なの。でも、久恵(92)というばーさnが実権を握っていて、慶四郎は、お手伝いさんとの結婚を許されないの。後継ぎ問題で揺れているの。
そこで、光彦は、教会のシスターに話を聞くの。昔のことに詳しいんでね。すると、戦後、久恵ばーさんの長男が、クリスチャンの女と結婚しようとしたんだけど、ばーさんに許されなくて、かけおちして、子供をもうけたと聴くの。でも、この時点で、次男がいたんで、そのこをどっかに預けたというの。それを、強引にやらされたのがルイばーさんと宮津老人。
さて、この後、長男も次男も死んでしまったので、養子をもらったの。で、最近久恵ばーさんは、このクリスチャンの女の娘を思い出して、勝蔵に探させていたの。
 勝蔵は、ルイばーさんに話を聞いて、神津家に行って、神津の親戚の竹内家にもらわれたのを突き止めたらしいの。
 でもって、シスターはさらに、クリスチャンの女(依子)の写真を送ってくれるの。これが、クミにそっくりなの。クミは結婚して、樋口になったけど。それで、光彦は、クミこそが朱鷺家の後継ぎだと断定。朱鷺家へ乗り込むの。
 その頃、朱鷺家では、正当な後継ぎだと、依子のロザリオをもって現れた美人親子のせいで、てんやわんやなの。
で、光彦は、このロザリオは、例の染井霊園の骨壺から盗まれた物だと推理。つまり、盗んだ人が、朱鷺勝蔵を殺して、このロザリオを偽の親子に渡して、偽の後継ぎに仕立てあげて、財産の横取りを企んだのね。それは誰か、というと、下の家の精一老人なんだけど。でも、勝蔵を殺したのは、クミの養父で、クミを取られたくなかったからなの。
さらに、ルイばーさんを殺したのは、精一じーさんで、動機は、ルイばーさんが、依子にそっくりなクミを見てしまって、あっちこそ正当な娘だと言い出したからなの。
そのほかに、慶四郎の内縁の妻の死もあったり、遺言状が出てきたりで、ぎっしりの内容で、面白かったわ。