会津、友の墓標

会津、友の墓標」西村京太郎。
言葉の持つ力というか、恐ろしさを感じたわねえ。よく、週刊誌なんかでも、スキャンダルが一度文字になってしまうと、芸能人が干されるとか聞くけど、本当に思えてしまうのね。怖いわ。
この小説の中でも、殺された佐伯が、自分の調べた調査に基づいて、実名小説を書いているの。それが、ひどい内容なのね。まず折戸がわざと市長の車にぶつかるの。それをもみ消すために、秘書のナオと付き合わせてくれというの。でもって、ナオはもっと悪い奴で、市長とも、反対派の議員とも関係を持っているの。で、街金系の銀行が市内に支店を5つ出す案があって、sれに反対派の議員が反対しているの。それを覆すのは、ナオの体でも駄目なの。で、ナオは、それを折戸に頼むの。すると、折戸は、その議員を拉致して、車を爆破して、脅迫して、言いくるめるの。
あくまでも、これは、佐伯の書いた小説の内容よ。でも、読むと、信じてしまうから困るわ。
で、最初に戻るけど、佐伯が仙台へ行って、折戸に会うといいながら、車のトランクで殺されているの。で、十津川は、仙台へ行くのだけど、折戸の住所もわからなくて、全然手がかりがないの。で、昔のことを聞いて、アキという少女を好きだったことを思い出して、(同級生で話はいろいろ聞いていたから)、さらに、その妹にナオという女がいたことも聞き出すの。
で、ナオは、折戸の大好きなタイプなので、ナオに会うんだけど、何も話してくれないの。
そうこうしていると、市長が事故を起こして、もみ消そうとしているという噂が入ってくるの。でもって、ここがものすごく強引な所なんだけど、その被害者が折戸ではないかと、推理するの。実は、そうなの。
で、詰め寄ると、市長と秘書のナオも観念して、折戸にぶつかられて、交換条件として付き合うことにした、と認めるの。で、住所も教えてくれるの。
これと、同時に、佐伯の書いていた小説が出てくるの。これが、さっきも書いたように、ひどい内容なの。で、佐伯は、それを、折戸や市長に見せると言っていたので、それを見た折戸が怒って佐伯を殺したと推理。で、折戸を新聞広告で呼び出すと、折戸は、この内容は、全然事実と違うと強く否定。で、自分の手記を見せる。それを十津川は、帰って読むけど、交通事故はあくまで事故だとか、ナオは悪い女ではないとか、その上、白血病にかかっているとまで書いてあるの。
そんでもって、その夜、佐伯のいた出版社の社長が殺されるの。それは、十津川が、佐伯がいなくても、あくまでもその出版社は、この小説を出版すると強調したため。
当然、殺したのは、折戸よね。でなきゃ、同じ小説の中で、名誉を傷つけられた市長が殺し屋にやらせたか。
 でも、その翌日、折戸とナオが自害してしまうの。それで、真実は闇の中。それにしても、言葉の恐ろしさを痛感した小説だったわ。

追伸。「検事朝比奈」は、手慣れた脚本で、安心できたわ。被害者がゆすりをしていて、殺されて、加害者と思われる男が、昔悪さをしていて、その男の娘が親をかばって。最後も、手慣れていたわ。