機巧のイヴ

「機巧のイヴ」乾緑郎
この人は、「完全なる首長竜の日」以来のファンなんですよ。それに、機巧物を一つ書きたいと思って、ずっとお蔵入りになっているアイデアがあって、それの参考になるかと思って買ったんですよ。。でも、結論から言ったら、役に立たなかったです。どういう事かって?説明します。
まず、短編集です。まあ、6つも話があるので、一つ二つネタバレしてもいいと思うので、書いてしまいます。まず、第一のは、相手が機械だ機械だと言っていて、実は、自分が機械ってオチ。近未来SFでは腐るほどあるオチです。でもねえ。時代が江戸時代なんですよ。どう読んでも、XX藩とか出てくるし。江戸なんです。でも、この中では、空想の時代、空想の都市という設定になってますが。でもって、江戸時代と言えば、簡単なからくりしかなかtっという潜在意識が読み手の中にあるから、こんな、コンピューター搭載のアンドロイドの侍を受け入れられないんですよ。だから、しらけてしまう。それに、かなり杜撰。途中に主人公が、酒を飲むシーンなんかがあるんだけど、どう考えたって、ショートしてしまうはず。まあ、電機はないので、ショートはしないでしょうが。それにしても、コンピューターなしでは、しゃべることも、考えることもできないはず。ダメです。
代二話は、相撲取りの話が語られ、オチは、それは、機械が見た夢というもの。これもまた、近未来SFには腐るほどある奴。それを強引に時代劇の中にねじ込んでも、しらけるだけ。それに、空想の江戸というのがいけない。時代劇をやる奴なんて、しょせん、やる人の多い現代劇に比べて、時代劇の方が直木賞を取りやすいからと思って始める奴が多いんですよ。
そういうやつは、とにかく、リアルな江戸の情報を知りたいんですよ。もし間違った名前や土地名をいれたら、新人賞で落とされますからねえ。それなのに、空想の藩の名前、空想の官職じゃあ、何の役にも立たない。沖田正午の「おれおれ騙りに気をつけろ」の方がまだ役に立つ。
私は、この人は、現代劇を書くべきだと思うのです。時代劇にしては、才能がありすぎ。でも、SFを好きな人には面白いかも。

再来年の大河は、真田丸ですって。私の故郷の近く。涙ちょちょぎれだよね。それに、「山賊の娘ロウニャ」も骨ふとだし。ゲドを思い出すよね。さすが宮崎はやお君のDNA。しばらくNHKから目が離せないね。

伊藤史郎の奴もおもしろかったわ。
連続二件の雨の日の殺人。パーカーと自転車が目撃されている。この被害者をAとBとする。三件目、Cは傷を負っただけ。この時、三人目(C)の前を容疑者が(D男)が歩いていた。たまたまパーカーと自転車。Dは驚いて、ぶつかってきた男の落としたナイフに触って捨てたので、ナイフに指紋がついた。それでD男が逮捕される。
D男の主張。自分はやってない。スーツの男がやった。逃げてぶつかって、ナイフを落とした。でも、Bの時、近くにD男の指紋のついたハンカチが落ちていた。これは、前に落としたと主張。sて、長く退屈な裁判があって、C子の周りを調べると、ストーカー男の(E男)がいた。そいつが危ない奴。で、E男を証人として呼ぶ。すると、C子が、告白。実は、E男に襲われた。でも、助けてくれた人や、刑事が皆、パーカーの男の仕業だと決めつけたので、否定できなかった。
で、この後、D男が介護していたのは、実はすり替え老人で、年金詐欺だと発覚。
ま、これはどうでもいい。
そして、雨の夜。F子が襲われそうになる。そのナイフを持った男を伊藤四朗が確保。そえrは、実は、伊藤に弁護を頼んだ弁護士(G)だった。で、Gの告白。実は、AとBとFは、息子を逆恨みし、痴漢の罪をなすりつけた。それで息子は自殺した。なので、復讐。
感想。この最後のスピーディーなドンデン返しは面白かったわ。刑事、もしくは弁護士が犯人というのは、最終兵器だよね。でも、時代劇では使えないの。そんなことしたら、お奉行様まで首だから。だから、江戸時代物では、この手はご法度。ああ、使いたい。

久しぶりに佐藤玉緒を見たわ。うれしかったわ。好きだから。