嗤う淑女

3・1(日)
「嗤う淑女」中山七里(小説)実業の日本社。
又しても新しいジャンルを開拓ですねえ。本当に中山七里は天才です。ミステリーはもう行き着くところまで行ってしまったじゃないですか。新しいトリックもなし。最近のと行ったら、「ちょっと席を外してくる」が、「車に乗せておいた被害者を殺してくる」の意味で、後で家に戻す。と決まっているので、面白くもなんともありません。それで、この人のように、新しいジャンル。「稀代の悪女、蒲生美千留」です。
人殺しはしません。人をそそのかして人殺しをさせたり、詐欺をさせたりするだけです。まあ、最後には、あっと驚くドンデン返しが待っていますが。超わくわくで、スリリングで、一気に読んでしまいました。
では筋。
小さい頃、美千留は恭子が再生不良貧血だったので、骨髄移植をしてあげます。これで二人は同じ血液型になります。これが、最後に非常に大きな意味をもってきます。
中学の時、恭子はいじめられていますが、それを美千留が助けてくれます。そして、親友になって、美千留の家へ。そこで、美千留が父にDVを受けているのを知って、二人で協力して首つりにみせかけて、父を殺します。この時から、二人は運命共同体になります。20年後。紗代という銀行のお局で、ストレスから買い物依存症になっている女がいます。恭子の高校の同級生で、相談をすると、美千留を紹介してくれます。ミチルは、架空口座を作って、そこへ架空送金をして、会社の金を横領することを勧めます。紗代は結構銀行の上のほうにいて、部長のはんこを偽造できるくらいの地位にいるので、それをやってのけます。そして、数千万の横領。だが、監査が入るという噂を美千留から聞きます。その日までに、返さないとヤバイ。そこで、美千留が、未公開株で、必ず上がる企業の情報をくれます。その株で、数千万を儲けるには、まず三億の元手が必要。で、三億を横領して、引き下ろして、株を買うことにする。しかし、カードを作るには住所が必要。それで、美千留の住所を借ります。カードでは、まず、美千留の住所に送られます。で、紗代はその講座へ3億を送金して、美千留から送られたカードで引き下ろそうとします。すると、三億は、引き下ろされた後でした。ミチルの住所へ行ってみると、そこはウイークリーマンション。すでに引き払った後。
それで、騙されたと気づき、飛び込み自殺。
次のターゲットは恭子の弟弘樹。
弘樹は就職に失敗して、父の廃油処理の会社を手伝っています。しかし、給料はバイト以下で、しょっちゅうひどく怒られます。そして父を恨んでいます。そこへ美千留が現れます。姉の恭子に弱みを握られて関係を強要されているといいます。それで、弘樹は怒って、父と姉を殺して、工業用の焼却炉で二人を燃やしてしまいます。
この時も、警察沙汰になりますが、そそのかしただけなので、美千留にまで捜査の手は及びません。
次は佳枝。佳枝の夫は60歳を前にリストラされて、小説家になると言い出しています。が、モラハラで佳枝を苦しめています。佳枝は美千留に入れ千恵されて、ぐでんぐでんに酔っぱらわせて、車で海へドボンして、殺します。疑われないように、自分もその車に乗っています。でも、警察に問い詰められます。それは一月前に、三千万の保険金を三億に上げていたから。そして、気の弱い佳枝は、美千留にそそのかされたことを喋ってしまいます。で、裁判に。
ここで証人として、整形外科医が出てきて、恭子が美千留とそっくりの顔に整形したことを証言します。それは、恭子が弟に殺される直前。ついでに、入れ替わりを演じるために、美千留も恭子の醜い顔に整形したと証言。となると、弘樹の殺したのは、美千留ということになります。これを知った弘樹は、愛する美千留を殺したのかと、泣きますが、そこはちょっと不自然。姉のほうが悲しいはず。でも、本当に死んだのが恭子かと、出血した血液型から調べますが、そこは二人が同じ血液方だったので、不明。
では、その後、美千留になったはずの恭子が佳枝をだましたのか? しかし、性格までは変わらないはず。あの悪の権化のような手口は美千留の者。その後、驚きのドンデン返しが。

今日も情報はなし。