顔のない敵

6・26(金)
「顔のない敵」短編集。石持浅海
超推理だったわね。息が苦しくなるほど。こうなると、もう推理を超えて、創作だわね。全然疑いのない死(事故死だと思われていた)から、疑って、とんでもない結果を引き出すの。天才だわ。
1・地雷原突破
デンマーク。デモンストレーションの地雷原突破。サイモン(地雷の処理はしない。NGOでスポンサー集めの天才)が未処理の地雷に吹き飛ばされて死ぬ。そのイベントは、処理されて火薬を抜いて、音だけが鳴るようにされた地雷を並べて、地雷の恐ろしさをアピールしようとして企画されたもの。その中に、たまたま未処理の地雷が混じっていた。それを偶然踏んだすえの事故死と思われていた。しかし、主人公は、疑問を持つ。たまたま皆から疎まれているサイモンが、地雷を踏んで爆死。こんな低い確率が成功することがあるか? それで、推理。
サイモンは、500メートル四方の地雷原の荒れ地の真ん中くらいで爆死。ふつうなら、そこまでたどり着く前に処理された地雷を踏むだろう。何しろ、処理された地雷は、超沢山巻かれて(埋められて)いたのだから。
それを踏まずに、真ん中まで行かせるには、ある一定の筋だけに巻かなければいい。そして、それを、サイモンに教えて、真ん中まで歩かせる。そこには飛び切り大きい音の地雷がある。処理されてあるから、皆驚くはずだとサイモンに言う。目立ちたがり屋のサイモンは飛びつく。そして爆死。それができるのは、地雷の設計もできる坂本お前だけだ、と探偵は謎を解く。動機は、自分では地雷を処理しないから。
感想。面白かったわ。

2・利口な地雷
日本の自衛隊に地雷を納入しているA企業。そこで新しい地雷が開発された。主人公は行く。
その地雷は、腐食性プラスチックを使っていて、二年で腐る。だから、地雷除去の手間がかからない。
A企業の倉庫でBが殺された。入りぐちには、糸が貼ってあった。それに躓くと、ロットが外れて、その先の金づちがリリースされて、頭に当たる。そして、Bが命中して殺された。
主人公は、なぜBがそんなにうまくヒットして死んだのかに疑問を持つ。Bは190センチ。まさに190センチでないと、頭に当たらない設計。それにBが倉庫に行ったのは、紙コップがなかったから。これも偶然。偶然すぎる。
それで、発想を変えてみる。発見したのはC。Cが尾行していって、何か恨みを覚えるようなことを感づいて、金づちで殺した。そして、後から、糸を張り廻らして、先に金づちを結び付けた。Cを問い詰める。
するとCは自白。Bは地雷の弱点を誰かにばらそうとしていた。そうなれば、自衛隊に納入はできない。Cは営業主任。それで、殺した。
感想。トラップは後から、というのが新鮮だったわ。
他にも面白いのが4つ。


情報。
「フランス人は10着しか服を持たない」