3匹の警部1.スカート捲り殺人事件、続き

「3匹の警部1.スカート捲り殺人事件」続き。
第一の玉井は第一スカート捲り研究会の部室にいた。古い。
「えーと、アリバイを聞きます。事件の起きた時間は?」とトイ。
「11時33分でした。私が憑依して殴られたのを察知しましたから」とフレンチブル。
「なんか、取ってつけたような感じだけど。まあ、いいか。その時刻にどこにいました?」
とポメ。
「ここにいました」と第一の玉井。
「証言してくれる人は?」とトイ。
「います。第二の玉井から第五の玉井まで、ここに一緒に」と第一の玉井。
「何でまた」とフレンチブル。
「私たち五つ子なんです。でも、独立心が強いから第一から第五までのスカート捲り研究会に分かれて所属しているんです」と第一の玉井。
「他の四人はどこに?」とトイ。
「ここに」と四人の声がしてカーテンの後ろからよく似た顔が四人現れた。
「ややこしいことをするなよ」とポメ。
「最初から出るのは恥ずかしいもので」と四人。
「五つ子かあ。まあ、家族だから証言能力はないなあ」とフレンチブル。
「証言能力はあります」と四人。
「は?どうして?」とトイ。
「それぞれ、玉井の分家にもらわれていっているので。家族ではないです」と四人。
「ふん。五つ子に分家。横溝趣味か」とポメ。
「まあ、いい。じゃあ、第六の玉井に逢うぞ」とトイ。

 こっちも同じだった。別の玉井家だが、五つ子で、それぞれが分家にもらわれていっていた。
「ふん。横溝のパクリか」とフレンチブル。
だが、一つ、収穫があった。
第六の玉井の所には、五つ子のバーさんがいた。
どうして、立教の部室にバーさんがいるのかは別として、バーさんたちは蹴鞠歌を歌っていた。
「第一の玉井は、くくられて死んだ」
「第二の玉井は突かれて死んだ」
「第三の玉井は切られて死んだ」
「第四の玉井は、おぼれて死んだ」
「第五の玉井は毟られて死んだ」
「第六の玉井は絞められて死んだ」
「第七の玉井は押されて死んだ」
「第八の玉井は、乗っかられて死んだ」
「第九の玉井は引っ張られて死んだ」
「第十の玉井はつままれて死んだ」
 だった。
「ますます横溝趣味だ」とフレンチブル。
「いいや、神の舌を持つ男のパクリだ」とトイ。
「それに、第一に殺されたのは、玉井じゃないし」とポメ。
「いや、第一の死者はもともとは玉井だったのじゃ」とバーさんたち。
「貰われたのが内田家」と他のバーさん。
「じゃあ、これから連続殺人が起こるってことかい?」とフレンチブル。
その言葉に全員が殺気立った。
「あ、その前に」とトイ。
「おい、フレンチブル、君は憑依できるんだよな」とトイ。
「え、は、はい」とフレンチブル。
「じゃあ、死んだ内田の脳に憑依すれば、死ぬ間際の状況が見えるかもしれん。やってくれ」とトイ。
「あのう、それって、映画の『秘密』のパクリじゃ」とフレンチブル。
「構わん」とトイ
「待ってくれ。儂は死人には憑依できないんじゃ。あくまで生きている動物か人間でないと」とフレンチブル。
「なぜ?」とポメ。
「さあ、作者がそう決めたから。作者に聞いてくれ」とフレンチブル。
「待て待て。じゃあ、犯人にでも憑依できてしまうじゃないか」とトイ
「それはできないんで。名前がわからないと」とフレンチブル。
「じゃあ、最初の死人、名前も分らないのに、なぜ憑依できたのさ」とトイ。
「さあ、それは作者のミスで」とフレンチブル。
「もう、面倒だわ。誰かに憑依できないの?」とポメ。
「ああ、そういえば、現場にはオームがいましたよね」とフレンチブル。
「そうだ。玉井の犯行と叫んだオームだ」とトイ。
「オームなら動物なんで、憑依できるんで。名前がわかれば」とフレンチブル。
「面倒ね。早くやって」とポメ。
「名前は?」とフレンチブル。
「さあ?」と所轄。
「それに、誰が持ち込んだのかもわかりませんし」と所轄。
「オームじゃと。それに、さっき、玉井の犯行と叫んでいたと言ったな」とバーさんの一人。
「その通り。分るの?」とポメ。
「分る。玉井のオームなら、持ち込んだのは内田じゃろう。あいつは第十の玉井にもらったと日ごろから言っておった。いつも連れていた」と一人のバーさん。
「そうじゃ。玉井のXx屋にいたのなら、玉井のXxと叫ぶはず。玉井の分家はどこもXX屋をやっていて、テレビCMで、オームが玉井のXXと叫んでおる」と別のバーサン。
「待ってくれ。じゃあ、あれは、玉井の犯行じゃなくて、単に玉XXというセリフを言っていただけ」とトイ。
「そうじゃよ」とバーサンたち。
「うっそう」と三匹。
「じゃあ、犯人は玉井じゃないかも知れないじゃん」とポメ。
「その通り」とバーサンたちの合唱。
「とにかく、オームに憑依してみましょう。オームの名前は?」とフレンチブル。
「ポンタじゃ」とバーサン。
「ポンタ、ポンタ」と集中したフレンチブル。
すると、現場で内田がしゃべるのが聞こえた。
「例の物は持ってきたのか?」と内田。
「うん。そいつをネガからくれ」と誰かの声。
「いやだよ。まだ金は欲しいもん」と内田。
「オノレー」と誰か。
横から手が伸びた。そしたら、内田が写真を離して窓から落ちた。写真には有名女優と男の姿。顔は帽子で分らない。
フレンチブルが目覚めた。
「内田が誰かを写真で脅して、強請をしようとしていた。オノレーと言う声と、何かの独特な匂。香辛料。どこかで嗅いだことがある。お昼に食べたのかも」とフレンチブル。
「分った。内田の家に行こう」とトイ。
内田の家に行った。
「このオームは昔からお宅に?」とポメ。
現場からポンタを持って言った。家には弟(次男)がいた。
「ええ。分家全部に、同じ型のオームがいますよ」と次男。
「全部、XX屋をやっていますので、玉井のXXと喋りますよ」と次男。
 収穫がなさそうなので、帰りかけた。
 だが、トイが忘れ物をしたと言って、全員で引き返した。
すると、三男がいて、犬の餌を食べていた。
「あ、この匂いだ」とフレンチブル。
「犯人は、犬の餌を食べていた、お前だ」とフレンチブル。
 すると、三男が、「ああ」と泣き崩れた。
「そんなあ。最初の数ページにフルネームで登場していない人が犯人?」とポメ。
「おまけに、一度も登場していないし」とトイ。
「ブログ小説だから、何でもありだ」とフレンチブル。
三男が泣き続けている。
「兄のくせに、強請をやろうとしたから。有名女優との不倫をネタに脅したから。それに、押したら落ちてしまったんだ」と三男。
「なんと」と三匹。
(この後、もう一度ドンデン返しがあるんだけど、それは新人賞に)
(ああ、でも、だれかネットで漫画にしてくれるかもしれないし。書いてしまおうか。誰か漫画か動画にしてください。台詞は自由に変えていいから)

続き。
翌日、三匹が内田の家に行った。すると、三男が連行されていくのに、にこにこしていた。で、三匹は不審なものを思った。なので、フレンチブルは、またオームに憑依した。
すると、誰かが落ちた後だと思われる窓(窓枠にTシャツの糸があった)からさらにステレオを投げ落とす映像が見えた。その右手には黒子があった。昨日と同じ匂がした。
で、内田の家に行った。すると、四男がドッグフードを食べていた。その右手には黒子が。
で、四男を問い詰めた。
「実は、最後にステレオを投げ落としたのは僕なんだ。三男が自分で殺したと思っていなくなってしまった後、窓から見たら一階のシートの屋根の上に引っかかっていたから、教室にあったステレオでさらに落としたんだ。そうさ。そうさ。実際に不倫で脅されていたのは、僕さ。三男には、金で身代わりを頼んだんだ。どうせ初犯で執行猶予になるから」と四男。
「またしても、全然に小説に登場しない犯人が」とポメ。
「じゃあ、ステレオはどうしたんだ?」とトイ。
「そんなの建物の影に隠したよ。幸い警察には見つからなかったようだけどね」と四男。
「じゃあ、警察へ行こう」とポメ。
「駄目だよ。三男が白状したからね。それに三男は金に困っているんだ。だから絶対に返さないし」と四男。
「まあ、どっちでもいいか。同じようなものだし」と三匹。
(了)
(XXの部分は「ブッポウソウは忘れない」を読んで。)