2012-01-01から1年間の記事一覧

御宿かわせみ2・江戸の子守歌

「御宿かわせみ2・江戸の子守歌」 1・江戸の子守歌 かわせみに子供を残したまま姿を消した夫婦がいる。探していると、浅草の聖天裏にいるという。夫(善三)は奥山の小屋で出刃打ちをしている。文字の形に打ち抜く。妻はお鹿。 東北を流れているとき、大病…

福家警部補の挨拶

「福家警部補の挨拶」(大倉崇弘) 帯にも書いてあるけど、本当にコロンボだわね。最初に殺人事件があって、犯人はわかっているの。それを小さなミスを見つけて、暴き出すの。お見事。 1・最後の一冊。 めずらしい絵本ばかりを集めた図書館があるの。犯人は…

首、なみだ菖蒲

「首」(横溝正史) 1・生ける死仮面 8・28日。彫刻家の小六が巡査に会う。リヤカーに少年を乗せていた。数日後。部屋の中をのぞいてみた巡査は、死後数日がたった死体をみつける。小六は、デスマスクを作っていた。小六の話「ヒロポン中毒。肺もやられ…

側室顛末・陽炎の辻

「側室顛末」(上田秀人) 漢字が多い、難しい言葉が多い。とても読みにくい。だから男の時代小説家のは嫌い。でも我慢して読んだ。疲れた。字が大きいのだけが救い。 家斉の時代の話。伊達家、後継ぎがいない。そこで側室をおいて、後継ぎをつくることにし…

百物語、おん宿かわせみ

「百物語」(輪渡颯介) メフィスト賞を受賞したんだそうで。メフィスト賞も時代劇を出すようになったんですなあ。で、筋。浪人で剣の腕の立つ左門のところへ肝試しの話が舞い込んでくる。百物語と称して、一人づつ話をして、そのたびに、隣のくらい部屋で灯…

時計館の殺人、夏鮪

「時計館の殺人」(今邑彩) 1. いける屍の死。 「生ける屍」というバーに来て、小説家がママに話をする。軽い沢の別荘で、小説家が殺されているのを記者の若い愛人が発見。しかし、その小説家は8時間前にも東京のマンションを出るのを目撃されていた。ほ…

鬼蟻村マジック、谷中黒猫殺人事件

「鬼蟻村マジック」(二階堂黎人) サトルが山深い里にいくの。恋人のふりをして。そこでは昔、密室殺人が起こっていたの。それは、大男が現れて、村のつまみ者を殺して、行き止まりの部屋で消えたの。 もうすこし詳しくいうと、酒の席に、大男が現れたの。…

狂乱の春雪、お深井お庭

電子出版から紹介するわね。以下のアドレスにあるから。 http://www.e-bookland.net/square/prosakka.asp ↑eブックランドの電子出版も、どんどんラインアップが増えています。ここは、若桜木先生門下生のコーナーです。 狂乱の春雪(月海和哉) 小説すばる…

神様ゲーム、オサキ江戸へ

「神様ゲーム」(麻耶雄嵩) これは、神様が犯人を指すという設定。神様を信じていないとダメ。 猫の手足が切られていた。犯人は秋谷甲斐。 次、秀樹が死んでいた。密室になった裏庭の井戸の中。 僕は、犯人に天誅を与えてくれないか、と神様(鈴木君)に言…

魔王城殺人事件、オサキ鰻大食い合戦へ

「魔王城殺人事件」(歌野晶午) 多摩の外れ。魔王城と呼ばれる洋館がある。ここはものが消える。サッカーボールが建物の中に入って消えた。数時間後、校門の前に。一人の変なバーさんが住んでいる。 あるとき、主人公が入った。人が殺されて乳母車に乗せら…

事件でござるぞ太郎冠者、ごきげんよう

「事件でござるぞ太郎冠者」(井上尚登) 横溝正史賞の人。すごくよく調べたわね。感心。これは、狂言の家で起こったことや、近くの所轄の刑事から持ち込まれて事件を、狂言にヒントを得て解決していくもの。人物もよく描き分けられていて面白かったわ。 1…

クリムゾンの迷宮、オサキと江戸の歌姫

「クリムゾンの迷宮」(貴志祐介) この人は、「鍵のかかった部屋」で見てはいたけど、長編は初めて。バトルロワイヤルだったわね。面白かったわ。 藤木は砂漠のように、ひどく乾いた山脈のあるところで目が覚める。記憶のあるのは冬。バイトの面接を受けた…

玩具店の英雄、江戸前しののめ飯

「玩具店の英雄」(石持浅海) 天才の作品をもう一つ。 1. 傘の花 八潮議員暗殺事件。ある車いすの画家の個展会場から出てきた。傘に刀を仕込んだ男が襲ってきて殺された。八潮議員は鷹派で、物議を醸していた。日本の海岸線に、中国の侵略を防ぐために地…

トラップ ハウス、もののけ若様探索帖

「トラップ ハウス」(石持浅海) 毎回思うんだけど、この人は天才。 帯から――狭苦しいトレーラー・ハウスの中に閉じ込められた卒業旅行の9人。ドアも窓も開けられない。混乱の中、一人が命を落とし、悪意に満ちたメッセージが見つかる。この卑劣な罠を用意…

空白の叫び、江戸前七つ星

「空白の叫び(上)」貫井徳郎 99%はつまらない。3人の中学生の日常を延々と描いているだけ。最後の最後になって、三人が殺人を起こす。そこからやっと、面白くなりそうな予感が。 筋。久藤は毎日がいらいら。新しいおんな教師が着任する。彼女は、苛め…

ミハスの落日。御庭番通史

「ミハスの落日」(貫井徳郎) 1「ミハスの落日」 僕は、ミハスのお金持ちの老人の家に招かれる。母と昔、幼馴染だったとのこと。 そして、バルセロナであった密室殺人について話す。バルセロナでは、一人の男性と仲がよかった。まだ二人は小学生くらい。男…

修羅の終わり。闇を切り裂く誘拐者

「修羅の終わり」(貫井徳郎) 「慟哭」と同じ叙述トリックなんだって。でも、「慟哭」と違って、良くわからなかった。あっちは、二つの話の流れがあって、最後に一つになる。あっと驚いたわ。でも、これは、三つの流れがあって、複雑で良くわからない。一応…

天使の屍、蛸比丘尼

「天使の屍」(貫井徳郎) 前にも紹介したことあるかなあ。もし紹介していたら、メンゴ。 青木の息子(14歳)がビルから飛び降りて自殺。部屋には遺書。「もうこんなことは終わりにしたい」遺体からは、LSD。 先生には中のよい友達を三人聞く。永井。園…

ふたたび赤い悪夢。殺人者は夜明けに笑う

「ふたたび赤い悪夢」(法月倫太郎) アイドルのゆりりんがラジオ局の倉庫で、ストーカーみたいな男に刺される。しかし冷たい血だった。彼女は失神。 数十分後、ゆりりんから法月に助けての電話が入る。男に刺されたのに死ななかった。ラジオ局の外では、誰…

10分間ミステリー,崩れる

「10分間ミステリー」 短編集。「このミステリーは凄い」大賞を取ったひとばかり。10枚なので、面白いものもあり、随筆みたいなのもあり、まあまあ。その中で印象に残ったもの。 1「防犯心理テスト」(上甲宣之) 消防署員だけを集めた心理テストを行う…

追憶のかけら

「追憶のかけら」(貫井徳郎) 三分の二くらいまでは、旧かな遣いの、昔の小説が長々と登場してきて、かなり退屈。でも、最後は、ドンデン返しがいくつかあり、超面白い。 筋。私は、国文学の教授。妻が、喧嘩して実家に帰り、交通事故で死んだばかり。ある…

午後からはワニ日和

「午後からはワニ日和」(似鳥鶏) この人は、「まもなく電車が出現します」からのファンなの。 筋。ある動物園で、ワニが盗まれる。ショックガン(痴漢撃退の)が落ちていたが、使われた形跡はなし。誰が? どんな目的で? ワニはそれなりに凶暴。うっかり…

事件の痕跡

「事件の痕跡」(短編集) 1. 私はこうしてデビューした。(蒼井上鷹) 相尾と皆美が『相尾翔』の熱狂的ファンの狛江について、話しあっている。 実は、狛江は、ストーカーまがいの困ったちゃんなのだ。相尾翔と合作をする(自分がネタを考えて、相尾が書…

法月倫太郎の冒険

「法月倫太郎の冒険」(法月倫太郎) 1. 死刑囚パズル ある死刑囚の死刑執行の日。死刑直前に死刑囚がお茶に入ったニコチンで殺される。それは、死刑囚が甘党だったために、所長が、まんじゅうを取り寄せ、それと同時に仏間にはこびこんだお茶(ポット入り…

誰か

「誰か」(宮部みゆき) 最初は退屈。自分は社長の入り婿なので、頭が上がらないとか、聞き込みに行っても、まるっきりカスリもしないとか。途中までは退屈。でも、最後にはドンデン返しがあるから、まあ、いいか。 筋。私は、社長の入り婿。その社長のお抱…

鬼流殺生祭

「鬼流殺生祭」(貫井徳郎) 明治初期の話。よって、岡っぴきは警視庁になっている。検死の医者も出てくるけど、死亡推定時刻までは出せない。殺人事件が起こる前に、昔ながらの葬式だの、武士の家の格式だのがどっさり出て来て、少々退屈だったわ。 さて、…

贖罪のソナタ、Wの悲劇

「贖罪のソナタ」中山七里 この人は、「カエル男」から大ファンなのよね。中には全然面白くないものもあるけど、これは面白かったわ。それに、法律関係(裁判所とか、刑務所とか)の事を良く調べてあるわね。重くていいわ。 でも、途中は、少年の過去(少年…

美女と魔物のバッティング・センター

「美女と魔物のバッティング・センター」(木下半太) この人は好きなんだよね。文句なく好きなんだよね。意外性があって、スピーディで。最初から文庫ってとこも好き。 さて、今回の主人公は吸血鬼です。 と言っても、こうもりに変身したりはしないの。いた…

転生

「転生」貫井徳郎 重かったわね。ルポルタージュみたいなかんじ。ドキュメンタリーと言ってもいいくらい。 筋。まず、僕は、心臓移植手術を受ける。そして、エリコという女性の夢をみる。この女性はよく夢に出てくる。それから、今まで好きでなかった肉が好…

殺人症候群

「殺人症候群」(貫井徳郎) 重かったわね。でも、ひっかけもあって、面白かったわ。こんなひっかけ(名字と名前と別々に書く)、もあるのかって、勉強になったわ。 1、 警視庁をやめた3人が(原田、倉持、武藤)環に呼び出される。一見、関係のない事件に…